工程計画システムの企画・開発により、ベテラン担当者が作成したスケジュールの95%の再現性を確立

株式会社あおい技研は、製造業に特化した業務改善コンサルティングを展開する会社です。
製鉄、組立て系産業、食品、医療機器、化学系素材など、数多くの改善診断・分析業務で培ったノウハウを活用し、幅広い業務領域における業務改善支援や、業務効率向上に資するシステムの企画・開発を行っております。

今回は、鋳物を製造するD社にて行った、工程計画システムの企画・開発事例をご紹介します。製造現場のシステム化に課題をお持ちの方は、是非ご参考にしていただけますと幸いです。

D社では、これまでベテラン担当者の経験や勘に頼った工程計画が作成されていました。
しかし、担当者の定年に伴う退職が迫ってきたこと、若手へ権限移譲した際に生産性が低下するなどの問題が生じたことから、工程計画のシステム化を検討。
工程計画作成の属人化を解消し、職人的暗黙知の明確化とシステム化による作業の効率化を図りたいという理由から、ご相談をいただきました。

実際の製造現場を見学させていただき、下記の方法で課題解決を進めました。

現状分析と課題の洗い出し

まず、若手が作成した工程と、ベテラン担当者が作成した工程を比較し、どの様な違いがあり、生産性の高い工程を実現するにはどうすれば良いかについて詳しく見ていきました。
その結果、最終工程である仕上げ・研磨の前に行う「熱処理」のプロセスをいかに効率的に行えるかが工程計画における最も重要な要素であることが分かりました。

ただし、生産性の高い熱処理工程を作成するには、以下の3つの複雑に絡み合った要件を同時に満たす必要があるという新たな課題も見えてきました。

1. 熱処理炉を無駄なく最大限活用する製品の組み合わせや入れ方（配置）の判断
2. 製品の組み合わせによって変化する熱処理パターンや処理時間への自動的な対応
3. 熱処理炉の工程に合わせた、前工程・後工程の調整

課題解決へのアプローチ

ベテラン担当者が保有するノウハウの全てをコンピュータに覚えさせることは難しく、また、新しい規格の製品が導入された場合に対応しきれないことが予想されたため、コンピュータの計算力を活かした汎用的なアプローチを取ることにしました。

具体的には、
【1.幾何計算を自動的に行うエンジンの開発】
【2.製品の組み合わせによって変化する熱処理パターンの自動化】
【3.熱処理炉の工程に合わせた前工程・後工程の自動調整】
といったプロセスの自動化を進め、総当たり的に計算を繰り返すことで効率の高い工程を抽出し、工程の最適化を目指しました。
また、現場のヒアリングからシステムの企画・開発までを弊社で一貫して行うことにより、調査側と開発側の意思疎通を円滑に進めることを可能としました。

弊社にて企画・開発した工程計画システムを実装したことにより、ベテラン担当者が作成した工程計画スケジュールと比較して95%の再現性を確立。工程計画のシステム化を達成することができました。
さらに、今回のシステムを受注残に適用することで、新しく受注した製品の納期見込みが立てやすくなるといった二次的なメリットがあることから、限られたリソースの中でよりベストな経営判断をするうえでも役立つのではないかと期待されています。

「大変素晴らしいシステムです。会社の技能継承問題の解決にも繋がりました！」
弊社が取り扱う製品の製造工程は非常に複雑なため、工程計画のシステム化は困難だと思っていました。しかし、ベテラン社員のノウハウをロジックに落とし込んだうえで、非常に精度の高いシステムを開発していただきました。
また、工程計画の作成業務が効率化できただけでなく、長年の課題であった「次世代への技能継承問題」の解決にも繋げることができたため、非常に満足しております。

今回は、鋳物製造を専門とするお客様のもとで行った、工程計画システムの企画・開発事例についてご紹介いたしました。
製造業における工程計画システムの開発は、業種や取り扱い製品、会社の持つリソースなど様々な制約条件が複雑に絡み合っているため、個別性が高くシステム化が困難だと捉えられがちです。
弊社では、製造業に特化したシステム開発を行ってきた実績とノウハウを数多く有しているため、会社に合った個別性の高いオーダーメイドのシステム開発が可能です。
「工程計画のシステム化を進めたいが、どこから進めたら良いか分からない」
「既製品のシステムを導入したが、自社に合っておらず全く使いこなせない」
そんな課題を感じられている方は、是非一度弊社にご相談ください。継続的なご支援が可能な「月額制支援サービス」もご用意しております。まずはお気軽にお問合せいただけますと幸いです。