業務改善で問題点の洗い出しをする方法3つ!重要な理由と注意点もご解説
業務改善のステップには、「問題点の洗い出し」があります。問題点の洗い出しとは、現状把握で見つかった問題を、原因まで突き詰めて考えることです。
業務改善は、思いつきなどの直感で場当たり的に取り組んでも期待した効果が得られません。繊密な計画を立てた上での実行でないと、業務フローが結果的に悪化してしまう恐れもあります。
業務改善で成果を出すためには、問題点の洗い出しに注力し、根本的な問題の改善・解決を目指すことが非常に重要です。今回は、業務改善で問題点の洗い出しをする方法3つをご紹介します。
業務改善で「問題点の洗い出し」が重要な理由と注意点もご解説するため、ご参考にしてください。
コンテンツ
業務改善で問題点の洗い出しが重要な理由
業務改善で問題点の洗い出しが重要な理由は、適切な問題選定ができていないと大きな成果を得られず、業務改善に取り組む意義が小さくなってしまうからです。
製造業における業務改善の主な目的は、生産性の向上や人手不足の解消、労働環境の改善などです。
業務改善は、以下のようなステップで進めていきます。
- 1.現状把握
- 2.問題点の洗い出し
- 3.問題解決の優先順位付け
- 4.業務改善案の立案
- 5.業務改善計画の作成
- 6.業務改善案の実施
- 7.業務改善効果の確認
目的を達成するためには、「2.問題点の洗い出し」のステップで問題と原因を正しく理解し、業務改善案の立案や実施に役立てる必要があります。
この「問題点の洗い出し」を疎かにすると、問題の本質を理解できず、そのまま問題改善に取り組むことになり、業務改善にリソースを割くこと自体が、無駄になってしまう可能性があるため気をつけましょう。
業務改善で問題点の洗い出しをする方法3つ
業務改善で問題点の洗い出しをするときは、表面的な問題だけにとらわれず、本質的な原因究明を目指すことが大切です。
客観的かつ俯瞰的な視点を持って、問題点を洗い出しましょう。業務改善で問題点の洗い出しをする方法3つをご紹介します。
1.丁寧なヒアリングをする
業務改善の最初のステップ「1.現状把握」の中にも含まれますが、本質的な問題点を洗い出すためには、丁寧なヒアリングが欠かせません。
現場の作業員や各部門の担当者に、どのような問題がなぜ生じていると思うか、などを聞き込みましょう。
ヒアリングをするときは、相手の感じていることや判断に至った経緯を汲み取れるように、先入観を排除し、カウンセリングに近い感覚で行うことが理想です。
無理に問題点を引き出そうとするのではなく、本人たちが本当に問題だと感じていることだけを抽出するようにしましょう。
2.日常的な業務の必要性を考える
業務改善で問題点の洗い出しをするときは、業務のスリム化を意識することが大切です。業務のスリム化とは、日常的な業務の必要性をゼロベースで考えて、不必要だと判断したものを取り除くことを指します。
日常的な業務はルーティン化しているため、問題が潜んでいても気づきにくいことが特徴です。日常的な業務の中に潜む問題点を洗い出すためには、「ビジネスプロセス図」の作成を推奨します。
ビジネスプロセス図とは、業務の流れを視覚化する図のことです。業務プロセスの流れを最初から最後まで図にすることで、普段は意識しにくいプロセスのつながりを把握できます。
結果、カットできる工程や業務効率を悪くしている作業などの、問題点を洗い出せるというわけです。
また、日常的に行っている業務が本当に必要なのかどうかは、その業務を行っている本人には分かりにくい特性があります。
日常的な業務の必要性を問うには、コンサルティングなどの客観的視点が必要なこともあります。
3.「なぜなぜ分析」で問題の本質に迫る
なぜなぜ分析とは、問題に対して「なぜ?」を繰り返していくことで、根本原因を追求する分析手法のことです。
5回ほど「なぜ?」を繰り返すと、根本原因に辿り着くと言われています。
例)問題:不良品が検査を通過して出荷されることがある
「それはなぜ?」
↓
検査で不良品の見落としがあったから
↓
「それはなぜ?」
↓
マニュアル通りに検査が行われていなかったから
↓
「それはなぜ?」
↓
マニュアルにある検査項目の一つが見落とされていたから
↓
「それはなぜ?」
↓
マニュアルの検査項目が多く、すべて文章でのみ書かれていたから
↓
「それはなぜ?」
↓
現場でのマニュアルの視認性や使い勝手に配慮せず、文章のみで作成されていたから
このように“なぜなぜ分析”を使うと、表面的な問題ではなく、根本的な問題を探り出せます。すぐに取り入れられるシンプルな手法なため、問題点の洗い出しの手法としておすすめです。
実際に先ほどの問題を“なぜなぜ分析”により、原因と解決策を導き出すことができます。
原因:現場でのマニュアルの視認性や使い勝手に配慮せず、文章のみで作成されていたこと
解決策:現場の作業エリアに検査項目の一覧表(図)などを掲示するようにした。
業務改善で問題点の洗い出しをするときの注意点
業務改善で問題点の洗い出しをするときは、目的を見失わないことが重要です。無理に問題点を洗い出そうとするのではなく、どのような問題がどこにどれほどの悪影響を及ぼしているのか、しっかり理解しておく必要があります。
業務改善で問題点の洗い出しをするときの注意点をご紹介します。
本当に重要な問題か吟味する
業務改善のステップでは、問題点の洗い出しの前にまず現状把握を行います。現状把握とは、業務内容やフローを見える化し、現状の業務がどのように行われているかを明確にすることです。
現状把握を行うと、どんな現場にも大小さまざまな問題や課題が必ずあることがわかります。業務改善は問題の改善・解決を目指しますが、すべての問題を解消することが目的ではありません。
そもそも、問題や課題は常に変化して生まれ続けるもので、すべて解消するのは非現実的です。
業務改善の目的は生産性向上や人手不足の解消、労働環境の改善などの成果を得ることであるため、洗い出した問題が本当に重要か吟味することが大切です。
本当に重要な問題か吟味するときの基準は、得られる成果の大きさで考えます。洗い出した問題すべてに取り組むのではなく、優先順位を付けて、重要度の高いものから取り組んでいきましょう。
問題改善が何をもたらすのか考える
業務改善の目的を見失わないために、洗い出した問題を改善することで、どんな成果やメリットが見込めるのか、考えてみましょう。
問題改善の先を見据えながら取り組むと、意義が明確になり、業務改善を進めるモチベーションにもつながります。
また、業務改善の最後のステップに「業務改善効果の確認」がありますが、問題改善で得られるものを明確にしておけば、確認も容易になります。
問題改善によって得られる成果を考えるときのポイントは、数字などの数値化した指標にすることです。曖昧に成果を評価するのではなく、数値のデータとして何がどれだけ向上したのか、誰が見ても納得できるような業務改善を目指しましょう。
業務改善では問題点の洗い出しが重要(まとめ)
業務改善では、最初のステップである現状把握と問題点の洗い出しが、とても重要な役目を果たします。業務改善をする目的は、適切な問題を改善・解消して、生産性の向上や人手不足の解消、労働環境の改善などを実現することだからです。
現状把握や問題点の洗い出しに注力し、問題の根本的な原因を追求しなければ、業務改善で得られる成果や意義は小さくなってしまいます。
業務改善の問題点の洗い出しは、現状把握と同じく丁寧なヒアリングをベースとして、ビジネスプロセス図を活用したり、なぜなぜ分析を用いたりすることがおすすめです。
表面的な問題だけでなく、潜在的に隠れている問題にも着目できるよう心がけましょう。最終的に洗い出した問題が本当に重要なものか吟味し、問題改善が何をもたらすのか考えながら業務改善に取り組むことも重要です。
今日のポイント
- 問題点の洗い出しとは、現状把握で見つかった問題を、原因まで突き詰めて考えること
- 業務改善で問題点の洗い出しが重要な理由は、適切な問題選定ができていないと大きな成果を得られず、業務改善に取り組む意義が小さくなってしまうから
- 業務改善で問題点の洗い出しをする方法3つは「丁寧なヒアリング」と「日常的な業務の必要性を考えること」と「なぜなぜ分析の活用」
- 業務改善で問題点の洗い出しをするときの注意点は本当に重要な問題かを吟味し、問題改善が何をもたらすのか考えながら取り組むこと
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