3S活動とは整理・整頓・清掃のこと【進め方や事例】

3S活動とは、整理・整頓・清掃を徹底する取り組みのことです。主に製造業の現場で使われていることの多いスローガンで、業務効率化や安全性向上のために採用されています。

3S活動は、かんたんな取り組みだと思われがちです。しかし、目的を見失ったり進め方を誤ったりすると、業務効率化を阻む要因になってしまうこともあります。

3S活動に取り組むときは、目的を明確にして従業員間で共有しながら、正しい進め方をしていくことが重要です。今回は、3S活動について初心者向けに解説します。3S活動の進め方や事例も紹介するので、ご参考にしてみてください。

3S活動とは整理・整頓・清掃のこと

3S活動は「整理(Seiri)」「整頓(Seiton)」「清掃(Seisou)」の頭文字を取った用語です。職場で整理・整頓・清掃を徹底することで、業務効率化を図ったり安全性を高めたりします。

「整理」とは、現場に不要なものを置かないようにすることです。使用頻度が高く作業に必要なものだけを置き、関連性の低いものは収納します。在庫についても同様に、必要数だけを用意します。

「整頓」とは、現場に必要なものを使いやすい場所に設置することです。ポイントは、誰が見てもどこに何があるか、はっきり把握できるように工夫することです。工具や資材を取り出すときの無駄がなくなる、大きなメリットがあります。

「清掃」とは、現場の環境をきれいな状態を維持管理することです。衛生面のメリットだけでなく、従業員が快適に気持ち良く作業できるという、精神面でも良い影響があります。ホコリなどによる、機械設備のエラーや故障を防げるのもメリットです。

3S活動を徹底すると、現場の正常と異常をかんたんに視認できるようになります。雑多な環境による業務の非効率性が軽減され、従業員の精神的ストレス低下も期待できます。業務の効率化・安全性の向上・従業員のモチベーションアップが3Sの目的です。

5S活動との違いは「清潔(Seiketsu)」と「躾(Shitsuke)」が加わるか

3S活動と似た用語に5S活動があります。5S活動は3S活動に、「清潔(Seiketsu)」と「躾(Shitsuke)」を加えた取り組みのことです。

3S活動

  • 整理(Seiri)
  • 整頓(Seiton)
  • 清掃(Seisou)

5S活動

  • 整理(Seiri)
  • 整頓(Seiton)
  • 清掃(Seisou)

  • 清潔(Seiketsu)
  • 躾(Shitsuke)

「清潔(Seiketsu)」とは、3S(整理・整頓・清掃)を維持できるようにすることです。3S活動の徹底が常に維持されている状態を指します。

「躾(Shitsuke)」とは、3S+「清潔」の状態を維持するだけでなく、習慣化することです。3S活動も、一過性のものでは意味がありません。整理・整頓・清掃・清潔が徹底された状態を維持できるように仕組みやルールを作り、工夫して定着化させることが躾の役割になります。

3S活動は、5S活動の基盤となる取り組みです。5S活動も製造業の現場において欠かせない重要なスローガンですが、基本である3S活動が馴染んでいないと、維持や継続は難しくなります。

5S活動に取り組む前に、まずは3S活動を徹底的に行えるよう取り組むことが大切です。

3S活動の進め方

3S活動に取り組むときは、まずは目的を明確にすることが大切です。そのうえで、定着化のためのルールを作成し、PCDAサイクルを回していきましょう。3S活動の進め方を詳しく紹介します。

目的を明確にする

3S活動を行うときは始めに、なぜ取り組む必要があるのか目的を明確にしましょう。目的を明確にしないと従業員の理解や納得を得られず、活動をスムーズに進めにくいからです。「工具を探す時間の短縮」や「部品の落下による怪我を防ぐ」など、一つ一つの取り組みに対して、改善効果やメリットについて明確化することが大切になります。

ルールを作成する

3S活動を定着化させるためには、ルールの作成が欠かせません。明確なルールがないと、整理・整頓・清掃の基準が、各従業員に委ねられてしまいます。具体的には、工具や資材の定位置や清掃の手順をルール化することから始めましょう。

記録と見直しをしながら継続する

3S活動で難しいのは、活動を維持・管理し、継続していくことです。一過性の活動にならないように、積極的に記録と見直しを実施しながら、PDCAサイクルを回していきましょう。

また、3S活動は業務の効率化・安全性の向上・従業員のモチベーションアップなどの、目的を達成するための手段であることも忘れてはいけません。目的を見失った形骸化した取り組みにならないように、気をつけましょう。

3S活動の事例

ここでは3S活動の事例として、機械要素部品、治具・クランプ製品のリーディングカンパニーの、改善活動を紹介します。

工具の整理整頓


問題点:工具箱の中身が雑多で、どこに何があるかわからない、紛失にも気づきにくい。片付けが雑になる。

対策内容:整理整頓した状態の写真を工具箱の中に投入。
改善効果:工具箱の中身が常にきれいで、どこに何があるかわかるようになり、紛失にもすぐに気づけるようになった。写真を参考に、迷わず片付けできるようにもなった。

参考出典:https://www.imao.co.jp/kaizen-143.html

毎日の清掃作業を見直す


問題点:端面加工の切り粉や切削油が床に落ちてしまうため、清掃に手間がかかる。特に、切削油が付着した切り粉は床に張り付くため、清掃がとても面倒。

対策内容:切り粉や切削油が床に落ちないようにコンテナを設置。
改善効果:切り粉や切削油のほとんどがコンテナに直接入るため、床掃除の手間が大幅に削減。

参考出典:https://www.imao.co.jp/kaizen-97.html

備品の管理方法を見直す


問題点:備品を各作業台の上で梱包資材に入れて管理していたところ、違う場所に返却してしまうことが多発。梱包資材では見栄えが悪い問題も。
対策内容:備品収納用のトレイを設置し、管理番号を備品とトレイに貼り付け。
改善効果:備品の使用後、どこに返却すれば良いかが明確になり、見栄えも良くなった。

参考出典:https://www.imao.co.jp/kaizen-79.html

3S活動は製造業の現場の業務効率化と安全性を高める取り組み(まとめ)

3S活動は整理・整頓・清掃を徹底する取り組みのことで、主に製造業の現場で活用されています。目的やメリットはさまざまですが、業務の効率化・安全性の向上・従業員のモチベーションアップなどが、大きな成果として期待できます。

3S活動と5S活動の違いは、整理・整頓・清掃に「清潔」と「躾」が加わっているかです。5S活動は3S活動に清潔と躾を加えた取り組みのことで、維持と習慣化がポイントになっています。3S活動は、5S活動の基盤となる取り組みであるといえます。

3S活動に取り組むときは、目的を見失って活動が形骸化しないように気をつけながら、進めるようにしましょう。

今日のポイント

  • 3S活動とは整理・整頓・清掃を徹底する取り組みのこと
  • 5Sは3Sに「清潔(Seiketsu)」と「躾(Shitsuke)」を加えた活動
  • 3S活動の進め方は目的の明確化→ルールの作成→記録と見直しをしながら継続
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