製造業の技術継承は簡単じゃない!課題と実践方法を紹介

次の世代へ技術とノウハウを引き継ぐ。それが技術継承です。
言葉にするとシンプルですが、一朝一夕では成せないもの。
「忙しすぎて手が回らない」「引き継ぐ若手がいない」といった現実に直面している現場も多いのではないでしょうか。
本記事では、製造業の技術継承がなぜ必要なのか、どんな課題を抱えているのか、そして技術継承の方法を紹介します。

技術継承とは?

技術継承とは、製造業で大切に育まれた技能やノウハウを次の世代に伝える取り組みを指します。
技術というものを考えるとき、ポイントとなるのが“暗黙知”と“形式知”という2つの知識の形です。
暗黙知とは、職人が経験を重ねる中で身につけた、感覚的で言葉では説明しにくい知識のこと。
手触りや音で素材や機械の状態を瞬時に判断する能力がこれにあたります。

一方、形式知は手順や数値として整理され、マニュアルやデータとして共有できる知識です。
どちらも技術継承には欠かせませんが、暗黙知のニュアンスを理解しないまま形式知だけに頼ると、本質的な技術は伝わりません。
そのため、暗黙知と形式知の両方をバランスよく受け継いでいく工夫が求められます。
例えば、暗黙知を言語化・視覚化することで形式知に落とし込んだり、実体験の機会をOJTとして提供したりなど、工夫の仕方は様々です。

なぜ技術継承が必要?

技術継承が必要な理由は、企業の競争力を守り、成長を続けるためです。
製造業では、熟練者が長年かけて培った技術やノウハウが品質や効率を支えています。
しかし、熟練者の高齢化と若手の人材不足が進む現状から懸念されているのが、技術を次世代に伝えられず失われてしまうこと。企業の生産性や信頼性が低下してしまいます。
技術継承は、未来の製造業を支える土台を築くために欠かせない取り組みの一つです。

製造業における技術継承の課題

製造業では、技術の継承が十分とは言えません。その理由を、製造業にある課題から説明します。

熟練技術者の高齢化と退職

製造現場で長年経験を積んできた熟練技術者たちは、技術継承において欠かせない存在です。
しかし、多くの技術者が定年退職を迎える中、その貴重なノウハウが十分に引き継がれないケースが増えています。

「特定の人にしかできない仕事」という状況が続くと、その人が現場を離れた瞬間に作業が滞るリスクがあります。
このような技術の喪失は、企業にとって大きな損失となりかねません。

若手人材の確保と育成の難しさ

少子高齢化が進む中で、若手の採用自体が難しくなっています。
さらに、採用した若手をじっくり育成するための時間やリソースが十分に確保できない企業も少なくありません。

現場では「即戦力」を求める傾向が強く、十分な研修を受けないまま現場に出されることもあります。
これでは、若手が技術を習得する前に負担を感じて離職してしまうこともあり、悪循環に陥る要因となっています。

技術の属人化

先述しましたが、製造業では「暗黙知」と呼ばれる経験や勘に基づく技術が多く存在します。
これらは言葉やマニュアルだけでは説明が難しく、次世代に引き継ぐことが困難です。

その結果、特定の熟練者だけが持つ技術が組織全体に広がらない状況が生まれます。
こうした属人化を解消するためには、技術を可視化し、共有する仕組みをつくらなければいけません。

組織的な取り組みの不足

技術継承は、現場の努力だけでは実現が難しい部分が多くあります。
経営層が長期的な視点を持ち、教育制度や評価制度を整備することも当然必要です。

しかし、目先の効率や成果を優先するあまり、長期的な取り組みはどうしても後回しにされてしまうもの。
それでも組織全体で計画的に取り組む体制を整えることが、技術継承の第一歩です。

技術継承の方法

技術継承の方法を、暗黙知と形式知に分けて説明します。

暗黙知の継承方法

暗黙知は「感覚」や「経験」に基づくもので、言葉やマニュアルだけでは伝えにくいものです。
実際の作業や体験を通じて伝える方法がベストです。

・OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)
ベテラン社員が若手社員と一緒に仕事をしながら教えるスタイルです。
「ここはこんな風にやるんだ」といった説明と、熟練者の動きを目で見て学べるので、感覚的な部分まで自然と身に付けられます。

・映像を活用する
特に手順が複雑な作業は、動画で記録しておけば、繰り返し確認できて便利です。
特に、手元の動きや注意すべきポイントを映像化することで、見るだけで分かりやすい内容になります。

形式知の継承方法

形式知は、言葉や数字、図面といった形で明文化できる知識です。
これを整理して共有可能な形にすることで、効率的な継承が可能になります。

・マニュアルの整備
技術や手順をマニュアル化し、写真や図解を使って視覚的に分かりやすく作成します。さらに、定期的に内容を更新し、最新の情報を反映することも大切です。

・デジタルツールの導入
例えば、ナレッジ共有ツールを使うことで、情報を簡単に検索・共有できる環境を整えられます。
作業中に「これどうするんだっけ?」と思ったとき、すぐに調べられる環境は新人にとって非常に助かります。

・業務の標準化
作業フローを標準化することで、「この作業はこの手順でやる」といった共通認識を持てます。
属人的な業務を減らし、誰がやっても同じ成果を出せる体制を構築できます。

上記で挙げた他にも、勉強会やメンター制度など、熟練者と若手のコミュニケーションを促進する機会を設けることも大切です。
どれも一朝一夕に結果が出るものではありませんが、地道に取り組んでいくことが近道です。

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まとめ

製造業の技術を受け継いでいくには、感覚的な暗黙知と手順のような形式知、そのどちらも大切です。
目先の忙しさに流されて後回しにしてしまうと、貴重な技術が失われていた、そんな事態になりかねません。
時間やコストはかかりますが、技術を受け継ぐためにはOJTやマニュアルなど教育体制の整備が必要。
何から始めるべきかわからない、そんな場合には製造業のかかりつけ医「あおい技研」にご相談ください。

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株式会社あおい技研は、製造業に特化した業務改善コンサルティングを提供し、製造現場のDX推進をサポートします。80以上の製造現場での診断や改善の経験を活かし、お客様に合ったDX戦略を提案します。

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