【製造業】2026年版ものづくり白書から見る人手不足の現状

「人が足りない」と感じているのは、自社の現場だけではないはずです。
では、その不足感は客観的に見るとどのくらいの水準なのか。
本記事では2026年版ものづくり白書のデータをもとに、製造業の人手不足の現状と原因を数字で確認したうえで、放置した場合のリスク、そして企業・国それぞれが取り組んでいる対策までを解説します。
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データで見る製造業における人手不足の現状
就業者数は減少している
製造業の就業者数は、2023年の1,055万人から2025年には1,033万人へと減少しています。わずか2年で22万人が製造業の現場から離れた計算になります。
また、全産業の就業者に占める製造業の割合も2023年の15.6%から2025年には15.1%へと低下しています。
全産業の就業者数が2024年から2025年にかけて増加傾向にある中、日本のものづくりを支える人材の比重そのものが、年々薄くなっているということです。
現場でも人手不足感が高まっている
コロナショックで工場の稼働が止まるなど仕事が急減し、一時的に「従業員が余っている」という状態から一変、中小の製造業においてはコロナ前と同程度人が足りない状況です(※過不足DI-19.6)。
しかし一方で、物価上昇やコスト高騰などで会社の体力が削られているため、「人材は確保したいが、新規採用は慎重に見極めたい(※新規求人数前年比-4.5%)」と、採用活動にはブレーキを踏まざるを得なくなっている状況がうかがえます。
外国人労働者は増えている
一方で、不足する人手を補うように製造業の外国人労働者数は増加しています。
2025年には63.5万人に達し、製造業の雇用者数に占める割合も6.4%となりました。2008年と比べると4.6ポイントの上昇で、ものづくりの現場を外国人労働者が支える構図が定着しつつあります。
※データ参照元:経産省・厚労省・文科省┃2026年版ものづくり白書
なぜ製造業は人手不足に陥るのか?
少子高齢化によって労働者が減った
生産年齢人口の減少は日本社会全体の構造的な課題であり、2040年に向けてさらに深刻化する見通しです。
製造業もその影響を強く受けており、製造業における若年就業者(34歳以下)の割合は、2002年から2004年ごろは30%を超えていましたが、2025年には25.0%まで低下しました。
一方、高齢就業者(65歳以上)の割合は2025年に8.2%となり、非製造業の14.8%との差は6.6ポイントに広がっています。若手が入ってこないまま現場の高齢化だけが進む状況がうかがえます。
採用自体がうまくいっていない
採用活動を強化すれば解決するというほど単純な話でもありません。
過去3年間(2022〜2024年度)のものづくり人材の採用について「うまくいっている」「まあまあうまくいっている」と回答した企業は、規模を問わず合わせて44.5%にとどまり、半数に届いていません。
つまり半数以上の企業が、採用活動を続けても人材を思うように確保できていないのが実情です。
だからこそ、採用だけでなく既存人材の定着・育成・省人化を組み合わせた対策が求められます。
ベテランから若手への技術継承の難しさ
ものづくり白書によると、技能継承が「うまくいっている」と回答した企業はわずか1.9%にとどまります。
「ややうまくいっている」を合わせても33.3%で、半数にも届いていません。
将来の技能継承については8割以上の企業が「不安がある」または「やや不安がある」と回答しており、その理由として「熟練技能者の高齢化・退職」や「若手が採用できない」を挙げる企業が多く見られます。
このことから、人が減っているだけでなく、技術を受け継ぐ仕組みそのものが追いついていない背景がうかがえます。
継承が必要とされている技能の中身を見ると、「正確・精緻に作業できる技」や「トラブルや突発的なことが起きた時に対応できる力」を挙げる企業が多くなっています。
マニュアル化しやすい定型的な作業だけでなく、経験に基づく判断力や対応力まで求められている点が、継承の難しさに拍車をかけています。
※データ参照元:経産省・厚労省・文科省┃2026年版ものづくり白書
人手不足を放置するとどうなる?製造業にもたらす3つの悪影響
生産力が低下する
必要な人員が確保できなければ、当然ながら生産ラインの稼働を維持できなくなります。
受注していても納期に間に合わせられない、あるいは受注そのものを断らざるを得ない、といった機会損失につながってしまいます。
現場の負担増による離職の悪循環
人が減った分の業務は、残った従業員が肩代わりすることになります。
残業や休日出勤が常態化すれば、心身の負担から離職者が増え、さらに人手が減るという悪循環に陥りやすくなります。
競争力が低下して事業縮小や倒産のリスク
技能継承が滞れば製品の品質や納期対応力が落ち、価格競争力も維持しづらくなります。
最終的には受注減少による事業縮小、最悪の場合は人手不足を直接の理由とした倒産に至るケースもあります。
製造業の人手不足にどう立ち向かう?企業・国が取り組む対策
人手不足は一つの施策だけで解決できる問題ではありません。
企業側の取組と、国による制度面の後押しの両方について説明します。
企業側の対策
賃上げや労働環境・処遇の改善
ものづくり企業が人材定着のために行っている取組の中で、最も割合が高いのは「賃金水準の向上」で71.5%に上ります。
採用面でも、「初任給や賃金等の処遇の引き上げ」を成功要因に挙げる企業は全体で40.6%、従業員300人以上の企業では62.2%に達しており、待遇改善が採用・定着の両面で効果を発揮していることがわかります。
シニア人材の活用
技能継承の取組として、多くの企業が優先して行っているのが「再雇用や勤務延長などにより高年齢者従業員に継続して勤務してもらう」ことです。ベテランの知見をできるだけ現場に残しながら、若手育成の時間を稼ぐという意味でも重要な対策になっています。
OJTによる技能継承
技能継承が「うまくいっている」企業にその理由を尋ねると、「計画的にOJTを実施しているから」という回答が40.4%で最多でした。従業員300人以上の企業に絞ると64.8%まで上昇しており、規模の大きい企業ほど指導体制を計画的に整えている傾向がうかがえます。
属人的な「見て覚える」教育から、仕組み化された技能継承への転換が求められています。
デジタル技術(DX)やロボットによる省人化・自動化
近年の工作機械は、10年以上前の機械と比べて加工速度や自動化機能が大きく向上しています。
工程集約による機内計測の自動化や、ロボットによる自動搬送を組み合わせることで、工場全体の省人化・効率化を進める動きも広がっています。限られた人員でも生産力を維持するための現実的な選択肢として、DX投資への関心は今後も高まっていくと考えられるでしょう。
国の対策
外国人労働者の受入れ枠の拡大と新制度(特定技能・育成就労)
政府は2024年3月の閣議決定により、工業製品製造業分野における1号特定技能外国人の2024〜28年度の受入れ見込数を、2023年度末までの4万9,750人から17万3,300人へと約3.5倍に引き上げました。
あわせて対象業務区分も3区分から10区分へ、受入れ可能な産業分類も19分類から49分類へと拡大しています。
また、これまでの技能実習制度は2027年をめどに「育成就労」制度へ移行する予定で、人材育成と人材確保を両立させる仕組みへと切り替わっていきます。
※参照元:経済産業省┃製造業を巡る現状の課題と今後の政策の方向性┃P.21
外国人材受入れを担う「民間団体」の設置検討
受入れ人数の増加にともなって、技能試験の運営や相談対応などの制度運営費も増加が見込まれます。
これを踏まえ、経済産業省は工業製品製造業分野の業界団体や受入れ事業者が主体となって運営する民間団体の設置を検討しています。
建設分野で先行する「一般社団法人建設技能人材機構(JAC)」を参考に、会費を財源とした持続的な運営体制を想定しており、2025年度中頃の事業開始を目指しています。
補助金
中小企業の設備投資を後押しする「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)」には、2024年度補正予算で3,400億円が計上されました(中小企業生産性革命推進事業の内数)。
人材育成に使える「人材開発支援助成金」も2025年度予算で596.7億円が確保されており、教育訓練にかかる費用の一部を助成する仕組みが用意されています。
省人化のための設備投資と、人を育てるための教育投資、その両方に公的な後押しが用意されている点は押さえておきたいポイントです。
※参照元:経産省・厚労省・文科省┃2026年版ものづくり白書 P.236、P.249
製造業の人手不足対策なら『あおい技研』
人手不足でお悩みの管理者様は、ぜひ一度製造業専門のコンサルタント「あおい技研」にご相談ください。
製鉄・組立系産業・食品・医療機器・化学系素材など、日中合わせて80以上のものづくりの現場における支援実績を持っています。
「人が足りない」という悩みは、賃上げや採用だけでは解決しきれません。
人が入ったあと、既存人材の定着や育成を組み合わせた対策が求められるのです。
今からでも見直せるのは、属人化した業務プロセス、省人化といった現場の地道な改善です。
あおい技研では、ベテラン担当者のスケジュール作成ノウハウをシステム化した事例もあり、技能継承や省人化に悩む製造現場からの相談を数多く受けています。人手不足への対応を根本から見直すため、ぜひお話を聞かせてください。
まとめ
製造業の人手不足は、就業者数の減少・割合の低下・現場の危機感・外国人労働者への依存拡大という形で表れています。
背景には少子高齢化に加え、技能継承の難しさや賃金水準の低さといった製造業特有の課題が重なっており、放置すれば生産力低下から離職の悪循環、競争力低下へとつながりかねません。
賃上げや処遇改善・シニア活用・OJTの仕組み化・DXによる省人化といった企業側の努力と、特定技能制度の拡充や補助金といった国の後押しを組み合わせることが、これからの製造業に求められています。
製造業のDXはあおい技研
株式会社あおい技研は、製造業に特化した業務改善コンサルティングを提供し、製造現場のDX推進をサポートします。80以上の製造現場での診断や改善の経験を活かし、お客様に合ったDX戦略を提案します。
データ分析、業務効率化システムの開発、現場のデジタル化などを通じて、お客様の業務改善と生産性向上を支援します。
製造業のDXについては、あおい技研にご相談ください。
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