製造業のIoT成功事例7つ!導入するメリットや課題もご解説

製造業にIoTを導入する最大の目的は、現場の作業が効率化され生産性を向上させるためです。日本の製造業の大きな課題は、労働人口不足と後継者不在です。少子高齢化が進む日本で労働人口不足や後継者不在問題を解消するためには、業務の効率化と自動化が最優先の課題となっています。

IoTはアナログ作業をデジタルに切り替えるだけのIT化ではなく、最新のインターネットを駆使した画期的な技術です。業務の効率化や自動化はもちろん、制御機能で現場の危険を察知したり、収集したデータから最適な方法を導き出したりしてくれます。

今回は、導入を検討している人に向けて、製造業のIoT成功事例7つをご紹介します。
製造業でIoTを導入するメリットや課題についてもご解説するため、ご参考にしてください。

IoTとは?

IoTとは「Internet of Things」の略で、モノにインターネットを繋げて、情報収集や情報交換などをすることです。

従来、インターネットはコンピューター同士で接続するものでしたが、現在は技術が進み、スイッチやセンサーなどのモノに繋げて生活や仕事に活用できるようになりました。

具体的には、IoTによってドアの開閉回数を自動でカウントしたり、機械のスイッチを遠隔で入れて稼働させたりできます。

世界中で活用されている技術ですが、近年は製造業におけるIoTが注目を集めています。製造業の現場にIoTを導入すると、今まで人の手で行っていた操作やデータ収集などの作業を、自動化できます。

自動化だけでなく、インターネットによる高い精度の情報収集ができたり、業務の見える化を効率的にできたりと、メリットはたくさんあります。

IoTを活用することで、製造業の労働人工不足問題や後継者不在問題、生産性の低下を招いているさまざまな課題の解決が見込めます。

製造業でIoTを導入するメリット

製造業でIoTを導入することで、業務の効率化から作業や動線の最適化までさまざまなメリットがあります。

そこで今回は製造業でIoTを導入するメリットをご紹介します。

生産管理を自動化できる

製造業の課題の一つに、生産管理の難しさがあります。生産管理をするためには、生産管理計画の立案が必要不可欠です。しかし、生産管理計画の立案は、過去の生産量やラインの稼働率などのデータを分析して行います。そのためデータの入力や分析に手作業で取り組んでいる現場はとても多く、生産管理計画の立案までに、多くの時間を費やしている現場が少なくありません。

IoTを製造機械に導入すれば、現場のデータ収集を自動で行えるようになります。データ収集だけでなく、分析もしてくれるため、生産管理を自動化できます。生産計画を客観的データに基づいて、立てられることもメリットです。

機械設備をメンテナンスしやすくなる

現場の機械設備をIoT化すると、温度・作動音・エラー・動作速度・負荷などのデータを、自動取得できます。エラーや故障などをいち早く検知できるため、機械設備の異常による不良品発生や作業員の事故など、トラブルを最小限に抑えられます。

機械設備の状態がわかりやすくなると、メンテナンスがしやすくなり、リスクを下げることがメリットです。

データを活用して作業や動線を最適化できる

製造業では、生産性向上や現場の問題・課題解決のために、業務改善に取り組みます。業務改善ではデータを分析して問題を洗い出し、改善案の立案を行います。

しかし、業務改善案の立案を主観的に捉えた情報に基づいて実行してしまうケースはとても多く、それでは大きな成果が見込めません。現場にIoTを導入すると、インターネットが正確に現場の情報を収集し、可視化してくれます。

結果、客観的で正確なデータを活用して、業務改善案の立案に役立てられることがメリットに挙げられます。

具体的な例として、ビーコンからの位置情報を可視化すれば、作業員の動線を記録できます。さらに記録したデータを活用して、作業や動線の最適化を図ることが可能になります。

製造業のIoT導入成功事例7つ

製造業の多くの企業がIoTを導入し、成果を得ています。製造業のIoT導入成功事例7つをご紹介します。

参考出典:https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11103130/www.kanto.meti.go.jp/seisaku/joho/data/20170324iot_katsuyo_jirei_gaiyo.pdf

1.IoTを活用して少人数での24 時間365日稼働を実現

プラスチック成形の業務を行っている会社が、プラスチック成形機のIoT化を試みた結果、稼働状況に関するデータを取得できるようになりました。

各成形機の様子をどこからでも確認可能となったため、夜間や休日など人員が少ないときでも、トラブル発生の確認と状況把握ができるようになったことにより24時間365日稼働が実現しました。

2.ミキサー車をIoT化して生コンの適切な品質管理を実現

生コンクリートなどの原材料を販売している会社が、ミキサー車のドラムにIoTセンサーを取り付け、生コンクリートの品質変化データを、リアルタイムに取得・可視化する仕組みを開発しました。

建設現場に届けるまでの生コンクリートの品質の経時変化が、手間をかけずに簡単に可視化できるようになり、熟練作業者の勘と経験に頼らない品質の判断が可能となったことがメリットです。

3.IoTツールで生産設備の稼動状況を見える化

自動車エンジン事業を主とする会社が、生産設備に設置する信号灯にIoTセンサーを取り付け、「稼働中」や「停止中」等の状況を取得してデータ化しました。

データは無線を通じて社内サーバに蓄積され、機械の稼動状況はパソコンで可視化されます。生産管理者が現場の作業を詳細に把握できるようになり、工程改善の際の改善点の気づきが得られることがメリットです。

4. IoT化した熱処理炉を活用して夜間の稼働確認の負荷削減

金属熱処理事業を営む会社が、新規導入の熱処理炉2基と既設炉3基をIoT化し、スマートフォンでリアルタイムに、熱処理炉の稼働状況を監視できるようにしました。

IoT化した熱処理炉の活用によって、夜間・休日に熱処理炉の稼働確認のために、工場まで出向く必要がなくなったことがメリットです。熱処理の温度調整等の実績がデータとして蓄積され、ノウハウ化が図られることにより、高度な熱処理の実現が期待されています。

5. IoTを使って工場の情報をデジタル化し経営者の業務を支援

建設機械事業会社が、工作機械にセンサーを取り付け、温度・湿度・騒音レベル等の環境情報を取得し、社内共有情報として、クラウドへアップロードする仕組みを構築しました。

社長などの経営者がルーチンワークを短時間で効率的にこなし、本来求められるクリエイティブな作業時間を生み出せることがメリットです。

6.可食プリンターの稼働をIoTで遠隔監視

プリンター機器と専用インクの開発事業を行っている会社が、IT企業と連携し、可食プリンターの稼働を、IoTで遠隔監視する仕組みを開発しました。

インク残量や稼働状況、利用状況等が遠隔監視可能になったことで、顧客先に行かなくても、きめ細やかなサポートができるようになりました。

可食プリンターをIoT化することで、顧客による可食プリンターの使用状況をデータで把握するこ とができ、製品の故障原因の適切な検証が可能となったことがメリットです。

7. 信号灯の情報を使ってIoTで稼働状況を見える化

生産管理システム事業会社が、信号灯を用いた設備稼働状況を管理できるシステムを開発しました。信号灯の点灯・点滅の情報を取得し無線で送信することで、遠隔地から設備管理や稼働状況等データ分析が可能となる仕組みです。

遠隔地からでも、工場内の設備管理や稼働状況等の確認ができるようになったことがメリットです。

製造業におけるIoT導入の課題

IoTは製造業の問題を解消してくれる画期的な技術です。しかし、実際に導入するにはいくつかの課題もあります。製造業におけるIoT導入の課題をご解説します。

初期投資および維持管理にかかわるコストの課題

IoT導入には、大きなコストがかかります。主なコストは、導入の初期費用とメンテナンス等の維持管理費用です。

IoT導入によって見込める成果をよく考え、投資対効果について検討した上でリターンの方が大きくなると判断した場合に、導入を検討するようにしましょう。

現場および作業者の苦手意識への課題

IoTの知見や技術のある人が自社にいない場合、導入や運用には時間がかかる場合があります。また、IoTのような最新のデジタル技術に、苦手意識を持っている人は少なくありません。

苦手意識のある作業者にとって、IoTの導入は身体的にも精神的にも負担になる可能性があります。作業者への負担が増える可能性を考えると、解決したい課題をきちんと見極める重要性がわかります。

現場および作業者の苦手意識への課題への対処は、IoT導入がどのような問題改善につながるのか、しっかり伝えて納得してもらうことです。そのため十分な教育期間を設けて指導することも大切となってきます。

データ活用の問題

IoTによってデータ収集の簡略化ができますが、正しく解析して効果的な利用に繋げなければ、意味がありません。IoT導入にはランニングコストもかかるため、見合うような成果を得られているか、導入後も注力する必要があります。

IoT導入や自動化だけが目的にならないように気をつけましょう。

IoTは製造業に大きなメリットと革新をもたらしてくれる(まとめ)

IoTは製造業の問題や課題の解消に役立つ、画期的なデジタル技術です。人が労力をかけて手作業で取り組んでいたようなデータ収集や分析を、自動でしてくれるメリットがあります。

実際に日本の多くの製造業で導入されており、成功事例はたくさんあります。ただし、IoT導入にはコストや適切なデータ活用ができるかなどの課題もあります。

むやみに導入して自動化を進めると、現場の作業員の負担を増やしてしまう可能性もあります。IoT導入を検討するときは、どんな問題を解消したいのか考えることが大切です。

あおい技研は、製造業の企業に特化した業務改善コンサルティング会社です。
IoTの導入を検討しているけれど、何から手を付けたらいいのかわからない方、自社に導入することでどんな効果が見込めるのか知りたい方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

今日のポイント

  • 製造業にIoTを導入すると現場の作業が効率化され生産性が向上する
  • 製造業でIoTを導入するメリットは「生産管理の自動化」「機械設備のメンテナンスがしやすくなること」「データ活用による作業や動線の最適化」
  • 製造業におけるIoT導入の課題はコスト、現場の苦手意識、適切なデータ活用ができるかどうか
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