製造業の人手不足の解決策4つ|若者離れの理由や対策も併せて解説

製造業の人手不足は深刻で、さまざまな企業課題を抱えています。製造業の人手不足が深刻化している背景には、少子高齢化による労働力人口不足、技術継承の難しさ、3K(きつい・汚い・危険)のイメージによる若者離れなどがあります。

人手不足を解消するためには、「少ない人材でも対応できるような生産環境にする」、「若者を含めた新たな人材を確保すること」などが重要です。製造業の企業が競争力を高めていくうえで、DX化を見据えたものづくり人材の育成に力を入れることも重要です。

今回は、製造業の人手不足の解決策4つを紹介します。製造業の人手不足が深刻化している背景と、若者離れの理由と対策についても解説するため、ご参考にしてみてください。

製造業の人手不足が深刻化している背景

製造業の人手不足が深刻化している背景には、前提として日本の労働力人口不足問題があります。統計局の「第1 就業状態の動向 1 労働力人口」によると、日本の労働人口は2022年において平均で約6,902 万人となっており、前年と比べると約5万人程度、減少しています。

日本の労働力人口不足が生じている主な原因は、出生率の低下による少子高齢化となっており、日本全体の労働力人口自体が低下傾向にありますが、製造業においては特に人手不足問題は他業種に比べても深刻であるといえます。

パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計 2030」(https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/roudou2030/)によると、製造業では2030年には38万人の人手が不足していると予測されています。

さらに製造業の人手不足が深刻化している背景には、日本の労働力人口不足問題の他に、人材の流動化や3K(きつい・汚い・危険)のイメージ定着などがあります。

特に近年、若年層の価値観の多様化により、転職における意識も高まり、またインターネットの普及などにより、情報を得る機会も多く、転職自体のハードルも下がっており、従来の終身雇用形態は崩壊しているといえます。

製造業よりも人気の高い業種に若者の需要が偏っており、人材が流動化していることが一つの背景です。また、製造業に対して3Kのイメージが定着してしまっていることも、要因の一つとして考えられます。

そのため製造業へのマイナスイメージを払拭することも、今後の課題となるでしょう。

製造業の人手不足の解決策4つ

製造業の人手不足問題を解決するためには、業務を自動化したり人材育成に力を入れたりすることが大切です。また製造業に対するマイナスイメージを払拭したりするのも効果的でしょう。

ここでは製造業の人手不足の解決策4つを紹介します。

IT技術を活用して生産性を上げる

パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計 2030」では、製造業の2030年の人手不足を解決するための対策として、「生産性を上げる」ことが挙げられています。

生産性を上げることにより、製造業の2030年の人手不足予想に対して、約298万人分の人手不足問題を解消できると見込んでいるようです。

生産性を上げることの定義はさまざまですが、日本全体の労働力人口が減少傾向にある以上、そもそも人材確保自体の難易度が高いといえます。

製造業は従来のような物理的な人による労働力に頼るのではなく、ロボットやIT技術などを活用して、業務の自動化を目指すことが大切です。

具体的には、生産管理システムを導入して業務を自動化したり、ロボットやAIの能力を使って生産現場を省人化したりするなどが効果的です。

少ない人材でより高い生産性を確保できるように工夫が必要となります。

製造業における3Kのイメージを払拭する

3Kとは「きつい」、「汚い」、「危険」の頭文字を取った用語のことです。労働条件が厳しい職業を指して使われることが多く、製造業も例外ではありません。

製造業に対する3Kのイメージは、若者にも浸透しています。昔よりも職業の選択肢が増えた今、3Kのイメージがある製造業に自ら就こうとは思わない、というのが一部の若者の考えかもしれません。

製造業の人材不足と若者離れを解消するためには、3Kのイメージを払拭する必要があります。職場環境を見直したりKYT(危険予知訓練)を実施したり、従業員にとって安心・安全でクリーンな現場になるよう工夫しましょう。

求人票やメディアの発信内容を見直し、インターネットやSNSなどを活用して、良いイメージをPRすることも大切です。

ものづくり人材の育成に力を入れる

経済産業省の「2020年版ものづくり白書」によると、製造業の企業が直面している経営課題に関する問いに対して、大企業の17.1%、中小企業の22.7%が「後継者不足」と回答しています。

日本の製造業・ものづくり産業では、業務がベテラン従業員に属人化してしまっているケースが多く見受けられます。

業務継承が上手く進まないと、若者の人材が育たず、結果的に後継者不足における課題が浮き彫りになってしまいます。

ものづくりにおけるスキル向上に対し、給与面や待遇面においてメリットを感じる機会も少なく、製造業の離職に影響することもあるかもしれません。

製造業を支える支援として、企業によるものづくり人材の育成に対する国からの助成金制度もありますので、制度を上手く活用し、今後は従業員の教育カリキュラムを見直したり、各種技能競技大会を実施したりするなど、製造業従事者のスキルの底上げをサポートすることが大切です。

製造業において若者離れを防ぎ、能力の高い人材として育てるためには、ものづくり人材の育成に力を入れることが今後、重要な課題となってきます。

女性やシニア人材の雇用を検討する

経済産業省の「2022年版ものづくり白書」(https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2023/pdf/gaiyo.pdf)によると、製造業における高齢就業者数は20年間で32万人増加し、製造業における女性就業者数は、20年間で91万人減少しています。

高齢就業者数が増えている理由には、長い老後生活への不安や医療の発達により健康寿命が延びたことなどがあります。

また近年では定年制度を撤廃した企業も多く、定年せずにそのまま製造業に就いている高齢者もいると推測できます。今後、さらに高齢者の就業者数も、増加傾向となることが予想されます。

一方、女性就業者数が減っている理由には、製造業に対して重労働、長時間勤務、男性社会の文化など、女性にとって不利なマイナスイメージが増えたことなどがあります。

また女性でも取り組みやすい、身体的負荷の軽い手作業などが、機械やロボットによって代替されてしまったことも要因の一つです。しかし、日本全体での女性の社会進出率は伸びる一方で、実際には就労を望む女性は多くいます。

製造業の大半は65歳以下の男性で構成されていますが、今後、女性やシニア人材の雇用も検討すれば、人材不足問題の解決の糸口になるかもしれません。

製造業の人手不足問題はIT技術活用と人材育成などで対処する(まとめ)

日本の労働力人口は不足傾向にあり、中でも製造業の人手不足は深刻化しています。製造業の人手不足が深刻化している理由は、少子高齢化による労働力人口不足、技術継承の難しさ、3K(きつい・汚い・危険)のイメージによる若者離れなどです。

人手不足を解消するためには、「少ない人材でも対応できるような生産環境にする」、「若者を含めた新たな人材を確保すること」が重要になります。IT技術活用して業務を自動化したり、ものづくり人材の育成を強化したりしましょう。

女性やシニア人材の雇用検討、製造業における3Kのイメージの払拭活動なども効果的です。

今日のポイント

  • 製造業の人手不足が深刻化している背景には労働力人口不足、技術継承の難しさ、人材の流動化や3K(きつい・汚い・危険)のイメージによる若者離れなどがある
  • 製造業の人手不足の解決策4つは「IT技術活用した業務の自動化」、「製造業における3Kのイメージの払拭」、「ものづくり人材の育成強化」、「女性やシニア人材の雇用検討」などがある
  • 製造業の若者離れの理由は人材の流動化や3Kのイメージの定着で、対策は従業員教育の拡充とマイナスイメージを払拭すること
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