インダストリアルエンジニアリングとは?初心者向けに手法3つと役立つ資格を徹底解説

インダストリアルエンジニアリング(IE)とは、工程管理技術の一つです。工程や作業内容を科学的に分析し、最善の生産管理方法を追求する手法を指します。インダストリアルエンジニアリングは、製造業の現場における改善・改革の土台となりうる考え方です。

ただ、インダストリアルエンジニアリングとは一体何なのか、理解できていないという人は少なくありません。今回は、インダストリアルエンジニアリングの基本と手法3つを紹介します。インダストリアルエンジニアリングを活用した業務改善の事例や役立つ資格も掲載するので、ご参考にしてみてください。

インダストリアルエンジニアリングとは業務改善を行う技術のこと

インダストリアルエンジニアリング(Industrial Engineering)※とは、業務改善を行う技術のことです。

※一般的に頭文字をとってIEと呼ばれることもあります。

1910年代のアメリカの研究者による研究が発端で、日本では1920年頃から現在まで、工程管理技術の一つとして活用されてきました。インダストリアルエンジニアリングの特徴は、工程や作業内容を科学的に分析し、最善の生産管理方法を追求する手法であることです。

化学的な分析によって3M(ムリ・ムダ・ムラ)を解消し、主に「生産性向上」と「コスト削減」の実現を目指します。

インダストリアルエンジニアリングの手法3つ

インダストリアルエンジニアリングの手法は大きく分けて「方法研究」、「作業測定」、「組み合わせ」に分類されます。ここではインダストリアルエンジニアリングの手法3つを紹介します。

方法研究

方法研究とは、主に工程・動作・運搬を研究したうえで、分析を行うことです。

それぞれの詳しい分析内容は、以下のとおりです。

  • 工程分析…材料が製品になるまでの、作業と工程の順番を分析する
  • 動作分析…特定の作業における作業者の動作を分析する
  • 運搬分析…現場での運搬作業全般を分析する

方法研究では、主に工程・動作・運搬などの「方法」に着目し、研究や分析をすることで、業務改善点と方法を洗い出します。

作業測定

作業想定とは、主に時間・稼働を測定し分析することです。

それぞれの詳しい分析内容は、以下のとおりです。

  • 時間分析…各作業にかかる時間を測定し分析する
  • 稼働分析…人や設備における稼働状態を分析する

作業測定では、主に時間・稼働などの「作業」を測定、分析することで、業務改善点と方法を洗い出します。

組み合わせ

組み合わせとは、方法研究と作業測定を組み合わせて分析することです。主にラインバランス分析・連合作業分析・プラントレイアウトなどの手法があります。

それぞれの詳しい手法内容は、以下のとおりです。

  • ラインバランス分析…各工程の生産能力を分析しボトルネック工程を洗い出すことで、ラインバランスを整える手法
  • 連合作業分析…「人と人」や「人と設備」が協同して作業を行うときの協同作業の効率を高める手法
  • プラントレイアウト…工場レイアウト自体を見直す手法

組み合わせでは、方法研究と作業測定を組み合わせて分析することで、より深い観点での業務改善点と方法を洗い出します。

インダストリアルエンジニアリングを活用した業務改善の事例

インダストリアルエンジニアリングを活用した業務改善の事例を紹介します。

IoT活用による分析で現場の課題を抽出しリードタイムを短縮

自動車部品の開発・製造する企業が、IoT(従業員の位置情報+カメラの映像情報)活用による分析で、現場の課題を抽出し、業務改善にかかるリードタイムの短縮を実現しました。

IoTにより複数人の動きをリアルタイムで観測できるようになり、業務改善にかかるリードタイムを1/2にまで短縮した成功事例です。

参考出典:https://ichengsi.co.jp/ifs-labo/seizogyo-kaizenzirei/

設備を無人稼働できるよう工夫し1日あたり90分の作業ロス“0”を実現

レーザー加工機などで鉄骨部材を製造する企業が、設備稼働に必要なオペレーターの作業ロスを分析し、IoTの活用で作業時間の短縮を実現しました。

IoTにより設備を無人稼働できるよう工夫した結果、オペレーターに生じていた、設備の情報読み込み時間による1日あたり90分の作業ロスを“0(ゼロ)”にできた成功事例です。

参考出典:https://www.godo.co.jp/all-products/iot-jirei

インダストリアルエンジニアリングに役立つ資格は「技術士(経営工学部門)」

技術士とは、文部科学省認定の技術部門の業務を行える国家資格です。技術士の専門分野は21部門あります。インダストリアルエンジニアリングの資格として役立つのは、「経営工学部門」です。

技術士(経営工学部門)は、主に製造現場などで、生産マネジメントを専門家として行います。技術士(経営工学部門)の難易度指標となる第一次試験と第二次試験の合格率は以下のとおりです。

年度 第一次試験 第二次試験
令和4年 58.5% 14.0%
令和3年 44.7% 7.6%
令和2年 52.6% 11.8%
令和元年 76.7% 14.0%

表の参考出典:https://www.engineer.or.jp/c_categories/index02013.html

第一次試験では基本科目、適正科目、専門科目についての筆記試験が実施され、第二次試験では筆記試験および口頭試験が行われます。技術士の資格取得については、第二次試験での合格率が非常に低く、難易度が高い資格と推測できます。

また技術士(経営工学部門)の資格合格を目指すのであれば、実務経験がある方が有利といえるでしょう。しかし、実務経験がなくても、独学や通信講座の受講で取得を目指す人もいるようです。

インダストリアルエンジニアリングは最新の工程管理技術の一つ(まとめ)

インダストリアルエンジニアリング(IE)は、工程管理技術の一つであり、業務改善を行う技術のことです。工程や作業内容を科学的に分析し、最善の生産管理方法を追求する手法であることが特徴です。

インダストリアルエンジニアリングの手法は大きく分けて「方法研究」、「作業測定」、「組み合わせ」の3つに分類されます。どの手法も、製造業の現場における改善・改革の土台となりうる分析をベースにしています。

インダストリアルエンジニアリングに役立つ資格には「技術士(経営工学部門)」があり、難易度は高い傾向にありますが、独学での取得も不可能ではありません。インダストリアルエンジニアリングの手法を活用して、製造業の現場の効率的かつ画期的な業務改善を目指していきましょう。

今日のポイント

  • インダストリアルエンジニアリング(IE)とは工程管理技術の一つ
  • インダストリアルエンジニアリングの手法3つは「方法研究」、「作業測定」、「組み合わせ」
  • インダストリアルエンジニアリングに役立つ資格は「技術士(経営工学部門)」であり難易度は高い
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