部分最適とは?メリット3つとデメリットを徹底解説!進めるポイントも
部分最適とは、全体ではなく一部分だけに焦点をあて、改善活動をおこない最適化することです。特定の工程、業務内容、個人など小さな範囲の課題や問題に着目し、改善活動を実施します。部分最適のメリットは、成果をすぐに出しやすいことです。
範囲を限定しておこなう改善活動であるため、スピーディーに取り組むことができ、短期間で成果をあげられます。一方で、部分最適には全体の最適化を阻害してしまう可能性があり、デメリットとなる場合があります。
企業において最終的に目指すべきは、全体が最適化されることが特に重要であるということを意識する必要があります。今回は、部分最適とは何か、メリット3つとデメリットについてご紹介します。部分最適を進めるポイントも解説するので、ご参考にしてみてください。
コンテンツ
部分最適とは
部分最適の特徴は、全体よりも部分的で小さな範囲に着目し、最適化を目指すことです。小さな範囲に着目するため、改善活動に迅速に取り組むことができ、短期間で成果が出やすいことも特徴といえます。
製造業における部分最適の具体的な例は、以下のとおりです。
- 手作業でおこなっていた一部の業務を機械設備で自動化
- 検査時間を短縮化するために複数の検査項目を削除
- 原材料の調達先を変更し資材コストを削減
どの取り組みも、改善活動として高い成果が期待できます。しかし、企業全体でみたときに、しっかりと最適化できていることか重要です。たとえば、「手作業でおこなっていたとある業務を機械設備で自動化」の取り組みは、部分最適の観点でみると、作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減などに貢献しているといえます。
しかし、全体最適の観点でみると、機械設備の導入や運用に大きなコストがかかっていたり、メンテナンスができる人材が必要になったりと、結果的に生産性が低下してしまうケースがあるのです。企業が改善活動をおこなうときに陥りやすいのが、取り組むハードルの低い部分最適ばかりを優先してしまうことです。
部分最適に着目する改善活動も大切ですが、最終的に目指すべきは全体最適であることを忘れず意識するようにしましょう。
部分最適のメリット3つ
部分最適のメリットは、取り組むハードルが低いことです。課題や問題を洗い出しやすく、スピーディーに取り組めて、個人や部門のモチベーション向上が期待できます。部分最適のメリット3つを詳しく紹介します。
課題や問題を洗い出しやすい
部分最適では対象を小さく絞るため、課題や問題を洗い出しやすいメリットがあります。改善案のアイデア出しがしやすいため、課題や問題の洗い出しのリソースを削減できます。複雑性の少ない課題や問題であることが多く、原因分析や改善案の策定が進めやすいことも利点の一つです。
改善活動にスピーディーに取り組める
部分最適で洗い出される課題や問題はシンプルなものが多く、比較的解決しやすいといえます。改善案も明確になりやすいため、改善活動にスピーディーに取り組めることがメリットです。
また、部分最適では関係者が少なく限定されるため、意思決定プロセスも簡素化されます。迅速な意思決定のもと改善活動をおこなえることから、結果的にスピーディーで効率的な取り組みになりやすいことが特徴です。
個人や部門のモチベーション向上につながる
部分最適は局所的な改善活動になるため、個人や部門が直接関わりをもちやすくなります。短期間で成果が出やすく、目標達成が個人や部門の評価と直結しやすいため、モチベーションの向上が期待できることがメリットです。個人や部門は自分たちの担う役割や責任を意識しながら、小さな成功体験を積み上げていくことができます。
部分最適のデメリット
部分最適のデメリットは、全体最適の視点で考えると非効率になるリスクがあることです。小さな範囲に焦点をあてるため、長期的視点を欠いて結果的に他の部分に悪影響を与えてしまう可能性があります。ここでは部分最適のデメリットを詳しく解説します。
長期的視点が欠けやすい
部分最適では、小さな範囲の特定の工程、業務内容、個人などに焦点をあてます。よって、長期的視点が欠けやすく、一時的な問題解決にしかならない可能性があります。部分最適を目指すときは、継続性を考慮しながら、長期的視点を忘れないことが大切です。
他の部分に悪影響を与える可能性がある
部分最適では、対象範囲の課題や問題解決にのみ注力して、改善活動をおこなうのが基本です。とある課題や問題を解決できた結果、他の部門に悪影響を与えてしまう可能性があることに注意しましょう。
たとえば、特定の生産ラインを自動化した結果、生産ラインの流れが変化し。次の工程の作業者の待ち時間が増えてしまうようなケースです。部分最適に取り組むときは、他の部分の影響にまで気を配る必要があります。
全体最適の視点で考えると非効率になるリスクがある
部分最適は、全体最適の手段の一つであるといえます。しかし、部分最適が目的化されてしまうと、全体最適の目標から逸脱してしまい、全体の効率性や生産性が低下してしまうリスクがあります。部分最適の成果は、全体最適に貢献するものでなくては意味がありません。全体最適の視点や目標を意識して、バランスをとりながら取り組むことが大切です。
部分最適を進めるポイント
部分最適を進めるポイントは、全体最適とのバランスを考慮することです。目標は数値で具体的に掲げること、個人間・部門間での連携を意識することも大切です。部分最適を進めるポイントを詳しく解説します。
全体最適とのバランスを考慮する
部分最適を目指すのは、全体最適の目標を達成するためです。部分最適に取り組んだ結果、全体最適が阻害されては本末転倒になってしまいます。部分最適よりも全体最適を優先し、バランスを考慮しながら、改善活動の内容を調整するようにしましょう。
目標を数値で掲げる
部分最適の目標を設定するときは、具体的に数値で掲げるようにしましょう。「ミスを削減する」「作業時間を短縮する」など、抽象的な目標設定では効果を測定できないからです。目標は数値で掲げ、達成できるとどのような成果やメリットを得られるのかまで、イメージできるようにすることが大切です。
個人間・部門間での連携を意識する
部分最適のデメリットである、他の部分への悪影響や歪み、全体最適の阻害を阻止するためには、個人間・部門間での連携を意識することが大切です。個人間・部門間での連携がとれていれば、部分最適の改善活動が全体最適にとって適切なものであるか、判断しやすくなります。
個人や部門の連携とメンバーシップを大切にし、全体最適という共通の目標に向かって部分最適という手段の達成ができるよう努めましょう。
部分最適とは一部の要素や範囲に限定して最適化すること(まとめ)
部分最適とは、対象範囲を小さく絞り限定し、改善活動によって最適化を目指すことです。部分最適と反対の概念に全体最適がありますが、両者は密接につながっています。企業の最終目標は全体最適であり、部分最適はその手段の一つに過ぎないからです。
しかし、部分最適は取り組むハードルが低く、短期間で成果を出しやすいことから、目的化してしまっているケースが多く見受けられます。部分最適が目的化されてしまうと、他の部分や全体最適に悪影響を与えてしまうリスクがあります。部分最適を目指すときは全体最適の手段であることを忘れずに、バランスをとりながら改善活動を実施するようにしましょう。
今日のポイント
- 部分最適とは全体ではなく一部分だけに焦点をあて改善活動をおこない最適化すること
- 部分最適のメリット3つは「課題や問題を洗い出しやすい」、「改善活動にスピーディーに取り組める」、「個人や部門のモチベーション向上につながる」こと
- 部分最適のデメリットは長期的視点が欠けやすく、他の部分に悪影響を与える可能性があり、全体最適の視点で考えると非効率になるリスクがあること
- 部分最適を進めるポイントは全体最適とのバランスを考慮すること、目標を数値で掲げること、個人間・部門間での連携を意識すること
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