業務改善の事例7個【進めるときの注意点や気づきの重要性】
業務改善は、製造業の生産性を高めるために欠かせない取り組みです。長期視点で一つ一つ取り組んでいけば、確実に大きな成果につながります。ところが、業務改善の適切な進め方がわからず、計画を立てずに取り組んで、失敗してしまっている企業も多く見受けられます。
業務改善で成果を出すためには、取り組みによって得られるメリットを、しっかりとイメージすることが大切です。業務改善という手段がただの目的にならないように、気をつけましょう。今回は、業務改善の取り組みの参考となる、国内での成功事例7個を紹介します。業務改善の基本や進めるときの注意点も解説するため、ご参考にしてください。
コンテンツ
業務改善とは企業全体の生産性を上げること
業務改善とは、業務内容や生産プロセスを見直して、改善活動を行うことです。その業務改善の主な目的は、改善活動により企業全体の生産性を上げることです。
そのためには製造業においては、業務削減・業務効率化・経費削減などを積極的に行う必要があります。業務改善を考えるときは、長期的視点で考え、得られる成果に対して、取り組むリソースが適切かどうかを慎重に検討することが大切です。
業務改善の事例7個
「業務改善をしようと思っても、何から手をつければいいかわからない…。」そんなときは、国内の企業の成功事例を参考にするのがおすすめです。業務改善の取り組みの参考となる、国内での成功事例7個を紹介します。
1.RPA導入で年間10万時間の手作業を自動化
家庭向けエアコンや業務用空調機を製造している会社が、RPAの導入で年間10万時間の手作業自動化に成功しました。この会社は、繰り返し作業の多いバッグオフィス業務に着目し、手作業を自動化して業務効率化できないか考えました。
結果、RPA(Robotic Process Automation)という事業プロセス自動化技術を導入し、手作業の中でも時間がかかっていた「経理に提出する予実管理表の作成」などの自動化に成功したのです。
参考出典:https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/2206/14/news083.html
2.チャットサービスを促進して現場の意思疎通を円滑に
冷凍食品の製造会社が、チャットサービスを促進して、現場の従業員たちの意思疎通を円滑にしました。この会社の工場では従業員の平均年齢が高く、パソコンやチャットサービスなどITツールを扱える人が少ない問題がありました。コミュニケーションが活発ではなく、トラブルが起きたときの連携や、進捗管理が滞っていたのです。
そこで、チャットサービスを従業員たちに促進し、楽しみながら使ってもらえるように工夫したところ、利用が定着しました。チャットサービスで受注部門と営業所をつなぎ、写真付きでやりとりしながら議論や質問、回答などが行われるようになったのです。
参考出典:https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/2104/07/news042.html
3.スマホアプリの活用で40万件の膨大な棚卸しを効率化
ファインセラミック部品の製造会社が、スマホアプリを活用して、40万件の膨大な棚卸しを効率化しました。この会社の広大な物流倉庫では、毎日従業員が手作業で棚卸し作業をしていました。時間効率の悪さや人的ミスの多さが問題となっており、業務効率化できないか考えたのです。
導入したのは、独自開発のスマホアプリ。このスマホアプリのおかげで、入出荷のあった在庫リストの表示や、棚卸結果の入力による棚卸報告まで完了できるようになりました。手作業で行っていた、40万件の膨大な棚卸しを効率化できたのです。
参考出典:https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/2006/24/news014.html
4.低迷していた町工場が生産管理システムを開発して業務を効率化
板金加工や油圧機器の製造をしている小さな町工場が、生産管理システムを開発して、業務効率化に成功しました。この町工場は、不況による打撃を受け、売り上げが激減し、窮地に立たされていました。
生産管理にも問題があり、営業部門の受注情報と、工場の製品在庫や生産計画の情報がリアルタイムに共有されておらず、顧客との納期調整に多くの時間を費やしていました。
この問題を改善するために、独自の生産管理システムを開発し導入。業務プロセスが一元化し可視化されたことで、業務が効率化し、全体の生産性が向上しました。
参考出典:https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/1909/04/news008.html
5.AI翻訳の力を借りて低コストでスピーディーな納品を実現
海外に多数の顧客企業を抱えるグローバル鉄鋼メーカーが、AI翻訳の力を借りて、低コストでスピーディーな納品を実現しました。この会社は契約書や技術文書、マニュアルなど外国語で書かれた文書を扱う機会が多く、翻訳の人員不足に悩まされていました。
翻訳のための人員育成に時間をかけるのは効率が悪いと考え、AI翻訳を導入したところ、想像以上の精度で、人の翻訳で7時間かかる文書を、最短約2分というスピードで自動翻訳できるようになりました。
参考出典:https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/1907/17/news016.html
6.顧客案件管理システムを構築して顧客案件の管理を効率化
研磨用の砥石やバリ取り用の工具の製造会社が、顧客案件管理システムを構築して、顧客案件の管理を効率化しました。この会社は自前で開発したWebベースのシステムを活用していましたが、長期間経過する中で利用者が増え、必要な情報にたどり着くまでに30分余りを要するなど、検索性に乏しいものになっていました。
業務改善のために、独自で顧客案件管理システムを構築。実際に使いながら、より使いやすいようにシステムをブラッシュアップさせていった結果、顧客案件の管理を大きく効率化できました。
参考出典:https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/1706/22/news153.html
7.IoTで物流課題である出荷作業の効率化に成功
総合食品飲料の製造会社が、IoTで物流課題の改善に成功しました。この会社の工場では、出荷作業に時間がかかり、繁忙期にはトラックの待ち時間が3時間半を超えることもありました。
問題を改善するために、IoTの導入を決意。工場から10km離れた地点の待機場にトラックが着いた時点、出た時点、工場近くの待機場に着いた時点、出た時点、工場の出荷場に着いた時点と、トラックの出入りを、細かくモニタリングできるようにしました。結果、トラックの待機時間を目標の30%削減できるようになりました。
参考出典:https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/1705/17/news139.html
業務改善を進めるときの注意点
業務改善は、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。長期視点で焦らず、小さな取り組みから成功体験を積んでいくことが大切です。業務改善を進めるときの注意点を解説します。
優先順位をつける
業務改善を行うとき、改善点や改善案はいくつも浮かび上がってきます。どれも早急に取り組むべき案件だと思えるかもしれませんが、業務改善を成功させるためには、優先順位をつけることが大切です。
一度にすべてを改善しようとすると、現場に無理や混乱が生じて、失敗しやすくなります。小さな業務改善から実行し、成功体験を積んでいくことを意識しましょう。
優先順位の考え方は求められる状況や環境にもよりますが、
- 1.安全に関わること
- 2.現状の大きな問題を改善・解消できること
- 3.効率化や付加価値につながること
のように優先順位をつけることで、現場環境や生産性の向上を、適切な順序で進められるためおすすめです。
継続的に取り組む
業務改善は小さなものから大きな取り組みまでありますが、長期視点を持つことが重要です。焦って進めるとその場しのぎの業務改善になり、定着せずに意味をなさないこともあります。
一過性の業務改善にならないように、継続的に取り組みと成果が続くような、仕組みと環境作りを目指しましょう。継続的に業務改善を行っていくためには、PDCAサイクルを回すことも大切です。
業務改善に成功したと思っても、時間が経つと元の状態に戻っていたり、新たな問題が発生していたりする可能性があります。常にPDCAサイクルを回しておけば、変化や異変に気づけるため、業務改善を継続的な取り組みとして、ブラッシュアップし続けられます。
業務改善における「気づき」の重要性
業務改善を行うためには、前提として改善点が必要です。改善点は能動的に洗い出すことで発見できますが、大切なのは普段から、改善するべき点に気づけるかどうかになります。反対にいえば、「気づき」があれば、改善点を敢えて洗い出す必要はありません。
普段から違和感や不満として感じた、自然な「気づき」に基づいた改善点や業務改善案は、取り組み意欲が高くなり、得られる成果も大きくなる傾向にあります。業務改善の意義を高めるためには、普段から業務中にアンテナを張り、業務改善した方がいい点に気づけるような状態を、意識しておくことが理想的です。
業務改善は成功事例を参考に長期視点で取り組もう(まとめ)
業務改善は、目の前の改善点をただ解消すればいいというものではありません。
労働環境や生産性の向上など、大きな成果につながる改善かどうかを吟味し、慎重に計画を立てて実行していく必要があります。
ポイントは、改善案に優先順位を付けて、小さな業務改善から実行していくことです。一過性の取り組みにならないように、改善活動を定着させることを意識しながら、長期視点で継続的に実行していきましょう。
業務改善を継続的な取り組みにするためには、PDCAサイクルを回すことも大切です。一度実行して改善したから終わり、ではなく、さらに改善するべき点はないか、やり方は本当に適切かどうか、確認しながら進めていくことで、業務改善の意義が最大化します。
今日のポイント
- 業務改善とは業務内容や生産プロセスを見直して改善活動を行うこと
- 業務改善を進めるときの注意点は優先順位を付けて継続的に取り組むこと
- 業務改善の意義を高めるためには普段から業務中にアンテナを張り、「気づき」を得られるように意識しておくことが大切
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