これで通る!改善提案書の書き方をテンプレートと例文で紹介

「現場の課題を解決したいのに、改善提案書がうまくまとまらない」
「上司に提案しても、『もっと具体的に書いて』と突き返されてしまう…」

そんな経験はありませんか?
業務改善は重要だとわかっていても、その必要性や効果を「伝わる」形にまとめるのは難しいものです。
特に製造業の現場では、日々の問題意識をどうやって上司や経営層に納得してもらうか、悩んでいる方も多いでしょう。

本記事では、あなたの提案が「通る」ための説得力ある改善提案書の書き方を、例文とテンプレートを交えて紹介します。
押さえるべきポイントを理解して、承認される提案書を作りましょう。

改善提案書とは?

業務改善は製造業において、常に取り組むべき課題の一つです。その中で業務改善の提案とは、業務の効率化や問題解消の意見やアイデアを出すことです。

また製造業の現場で働く従業員の方の中には、経営層から業務改善の提案を求められることがあるかもしれません。経営層が現場の従業員に業務改善の提案を求める主な理由は、「自発性の誘発」と「現場のリアルな意見による業務改善案の求め」であるといえます。

業務改善の提案は会議などを設けて口頭で出し合うこともありますが、具体的な業務改善提案書を作成し提出するケースも多くあります。

【例文付き】改善提案書の基本テンプレート&例文

1. 提案の概要

提案の概要は、「今回の改善案がどんな目的で、何を実現したいのか」を短くまとめるパートです。
読み手が最初に目にする部分なので、ここで方向性をつかんでもらうことが大事。細かい説明は不要で、一言で「何の改善なのか」「どれくらい良くなるのか」が分かるようにしましょう。

【ポイント】
・長い説明は不要(1〜2文でOK)
・「何を改善するか」が一瞬で分かるように
・目的と方向性をセットで書く
・数字を入れると意図が明確になる

2. 現状の業務内容

現状の業務内容は、「今どんな作業がどんな体制で、どれくらいの時間がかかっているか」を客観的に示すパートです。
ここが曖昧だと改善案の説得力が落ちるため、作業量・担当人数・所要時間などを事実ベースで書くのがポイント。読み手はこの情報を元に「その業務は確かに見直す価値があるのか」を判断するため、感想ではなく「業務の実態」を書きましょう。作業工程が複数ある場合は、箇条書きで流れを書くとわかりやすいです。

【ポイント】
・事実を数字(時間・件数・人数)で書く
・工程がある場合は流れを簡潔に
・主観ではなく業務の実態を書く
・改善案の説得力を支える基礎データになる

3. 問題点

問題点は、「現状のどこが課題で、どれくらいの負荷や影響が出ているか」を明確に示す部分です。
ここは「困っている」「非効率」といった抽象的な表現では弱く、頻度や影響を数字で書くことで改善の必要性が伝わりやすくなります。作業遅延、品質低下、ミスの発生、残業増加など「業務インパクト」が読み手に伝わる形にするのがコツ。問題の切り分けが曖昧だと改善案も曖昧になってしまうため、課題の対象を明確にする意識が大事です。

【ポイント】
・「何が」「どれくらい」問題なのかを数字で示す
・業務インパクト(時間・コスト・負荷)を書く
・抽象表現より事実ベースを優先
・改善する理由(Why)がここで決まる

4. 改善案

改善案は「何をどう変えるのか」を具体的に書くパート。単なるアイデアではなく、実際に誰が読んでも同じ改善が再現できるレベルにすることが重要です。
方法・工程・仕組み・新しい運用の流れなど、変更点が具体的に想像できる内容を心がけましょう。新しいツールの導入や工程の置き換えがある場合は、それが「なぜ有効なのか」まで補足すると理解されやすいです。

【ポイント】
・工程や変更点を具体的に書く
・再現性のあるレベルで説明
・「なぜこの方法が良いのか」まで示す
・アイデアではなく「実行できる案」を書く

5. 期待できる効果

期待できる効果は、「改善によってどれだけ良くなるのか」を具体的に示すパートです。
ここは改善提案書の中でもっとも「判断材料として機能する部分」なので、必ず数値を記載。時間削減、ミス削減、コスト削減、生産性向上など、読み手がメリットを即判断できる表現にしましょう。
数字が出せない場合も、できる限り「定量的に近い言い方」に寄せると説得力が上がります。「改善する価値があるかどうか」を判断してもらう場所だと意識しましょう。

【ポイント】
・数値(%・時間・件数)を必ず入れる
・読み手が判断しやすい効果を書く
・具体性>抽象性
・投資対効果が伝わるように書く

6. コスト / リソース

改善に必要なコストやリソースをまとめるパートです。金額だけでなく、人員・工数・機材・時間など、実行に必要なすべての「投資」を書きましょう。ここを省略すると承認されにくくなるため、ざっくりでもいいので漏れなく記載。初期費用・ランニングコストの両方を書いておくと現実的な計画になります。「改善効果」と比較される部分なので、簡潔かつ正確にまとめると信頼されやすいです。

【ポイント】
・費用・人員・工数をまとめて書く
・初期費用と維持費を分けると分かりやすい
・決裁者が判断しやすい項目にする

7. スケジュール

改善案を「いつ・どの順番で進めるか」を示すパートです。週単位や月単位で工程を区切り、必要最小限のステップにまとめるのがコツ。テスト期間や軌道修正期間があると実現性が高く見えます。
また、読み手が「無理のない計画だな」と判断できる内容にすることで、提案の通りやすさが上がります。工程が曖昧になると実行イメージが湧かないので、工程は必ず順序立てて書きましょう。

【ポイント】
・工程を時系列で書く
・テスト期間を入れると現実的
・細かすぎず、でも曖昧すぎない
・読み手が「実行できる」と思える計画にする

8. 想定されるリスクと対策

改善案を導入するときに起こりうる問題を先に示し、「どう対策するのか」を添えるパートです。リスクを書くのはネガティブではなく、むしろ「計画がしっかりしている」と伝える効果があります。導入初期の混乱、作業者の慣れ、設備の故障など、現場で起こりそうなことをあらかじめ書くことで安心感が出ます。

【ポイント】
・予想できる問題点を明記
・対策案もセットで書く
・初期の混乱について触れるとリアル
・リスクも検討済と伝えることで「安心して承認できる提案」になる

通りやすい改善提案書のポイント5つ

1. 読む人が「すぐ判断できる」情報を心がける

改善提案書は、細かい説明をじっくり読む時間がない上司や決裁者が判断できるように作るのが基本です。
最初の数行で「何を改善したいのか」「どんな効果があるのか」がつかめないと、提案内容がぼやけてしまいます。背景の長い説明や感想は省き、読み手が知りたい「判断材料」だけを端的にまとめることで、文章全体の説得力が上がります。

【ポイント】
・結論は先に書く
・数字を入れて判断しやすくする
・冗長な背景説明は削る

2. 数値を入れて「効果が測れる」形にする

改善案は、どれだけ良さそうに見えても数字が入っていないと評価がしづらいものです。作業時間、ミス件数、コスト、工数などをできる限り数値化して「効果が見える状態」にすることが大切。
「時間が短縮できます」よりも「1日2時間 → 0.5時間に削減できます」の方が圧倒的に判断しやすいです。数字は提案の裏付けであり、読み手にとっての確かな根拠になるため、改善提案書の通りやすさを一段引き上げてくれます。

【ポイント】
・「作業時間を30%削減」 ⇒ 「ミス件数を月3件 → 0件」
・数字があるだけで、上司は投資対効果をイメージしやすくなる

3. 現場の困りごとと改善案がつながっている

改善案は、現場で実際に起きている課題としっかり紐づいていることが大前提です。現場の声を踏まえずに思いつきだけで作った案は、読み手から「本当に必要なの?」と思われてしまいます。
「困っていること → その原因 → 改善策」という流れが自然につながっていれば、提案の必然性が生まれ、納得感が一気に高まります。上司が知りたいのは「この改善は誰のどんな問題を解決するのか」なので、ここが明確になっている提案は通りやすいです。

【ポイント】
・現場の声 → 問題点 → 改善案
・この流れが自然につながっていることが大事

4. 実現可能性が高い

どんなに良い改善案でも、現実的に運用できなければ意味がありません。導入に必要な人員・時間・コストが過剰だったり、現場に負担が集中したりする案は承認されにくいと想定しておきましょう。
改善には、「これなら無理なく実行できそう」と感じられるレベルの現実味が必要。スケジュール・担当者・運用方法を無理のない範囲で示しておくと、提案全体に「実行できる案」としての信頼が生まれます。

【ポイント】
・人員/工数/費用/導入までの期間
・これらが現実的なラインに収まっていることが重要

5. コストと効果のバランスが適切

改善提案書は最終的に「投資対効果」で判断されます。費用が少なく、得られる効果が大きい改善案は当然魅力的。しかし、多少コストがかかっても、削減される工数やミス減少などのメリットが明確なら通る可能性は十分あります。
重要なのは「この改善に投資する理由」が数字付きで説明できること。読み手がコストと効果を比較しやすい状態にしておくことで、判断がスムーズになります。

【ポイント】
・費用が小さい/時間削減やミス削減が大きい/導入が現実的
・こういった案は上司から見ても通しやすい

業務改善提案のネタの見つけ方

作業手順を書き出し業務の流れを可視化する

業務改善のネタを見つける際、まずは「作業の流れをすべて書き出してみる」ことから始めましょう。手順を棚卸しすると、普段は気づきにくいムダや手戻りが浮かび上がります。
特に、細かすぎる手作業や担当者によってバラつきが出る作業は、改善効果が大きい部分。全体の流れを客観的に見るだけで、「そもそもこの工程って必要?」「ここはまとめられないか?」という気づきが出てきます。3M(ムリ・ムダ・ムラ)の発見にもつながるため、最初に取り組むべきステップです。

他社の改善事例を参考にする

改善ネタが思いつかないときは、他社の改善事例も参考になります。他社でうまくいった取り組みは、現場の課題を解決してきた「実績」のあるアイデア。そのまま真似する必要はなく、自社の状況に合わせてアレンジしましょう。
「同じ作業でこんな工夫ができるのか」「この仕組みなら導入できそう」という発想が生まれやすく、改善案の幅が広がります。成功事例を知ることは、現場の思考を柔らかくして新しい視点を取り入れるきっかけにもなります。

新人・ベテラン両方にヒアリングを行う

現場の作業員にヒアリングを行うと、日々の業務で感じている課題や不便さを直接拾うことができます。新人とベテランでは気づくポイントがまったく違うため、両方の声を集めるのが効果的。
新人は「作業でつまずくポイント」や「説明不足の工程」など、習熟前だからこそ見える課題を指摘してくれます。一方、ベテランは「慣れで見落としている非効率」や「長年解決されていないムダ」を把握しています。
両方の視点を合わせることで、改善案の精度が大きく上がり、「本当に現場で役に立つ改善提案」につながります。

ミス・トラブルの履歴を分析する

過去に発生したミスやトラブルは、改善ポイントが分かりやすく現れているデータです。いつ、どの工程で、どれくらいの頻度で問題が起きているかを並べてみると、「改善すべき優先度」が自然と見えてきます。
特に同じトラブルが何度も起きている場合は、根本的な原因が放置されている可能性が高く、改善ネタとして非常に価値があるもの。感覚ではなく、記録ベースで分析することで、現場の課題がより鮮明になります。

現場の動線・配置を見直す

作業効率は、現場の動線や道具の配置によって大きく左右されます。よく使うものが遠い場所に置かれていたり、作業と作業のあいだの移動が多かったりすると、その分だけ時間のロスが発生します。現場で実際の動きを観察し、「どこで無駄な動きが生まれているか」を見つけることが重要です。
配置を少し変えるだけでも移動距離が減り、作業のスピードと安定性が改善されることがあります。動線の見直しは、低コストで効果が出やすい改善方法の一つです。

まとめ

改善提案書は、「丁寧に長く書けばいい」ものではありません。
大事なのは、読み手が短時間で判断できるように、必要な情報だけを整理して届けること。
今回紹介したように、

・提案の目的と改善内容を一言で示す
・現状と課題は「数字」で客観的に説明する
・改善案は具体的に、再現性のある形で書く
・効果は定量化して「投資する価値」を示す
・リスクと対策までセットで提示する

この流れを押さえるだけで、提案の通りやすさは上がります。
さらに、最後に紹介した「改善ネタの見つけ方」を押さえておくと、現場の課題を掘り起こしやすくなり、提案書づくりが楽になるはず。
この記事を参考に、ぜひあなたの現場に合った改善提案書を作ってみてください。

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