QCDとは?初心者向けに4つのポイントで重要な理由や関係性を解説!

QCDとは、Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)の頭文字をとった用語です。QCDとは、製造業における生産管理やマネジメントの現場で、よく使われている専門用語です。特に製造業では欠かせない要素であり、それぞれをバランス良く満たすことが、企業の発展や利益向上に大きく関わります。

しかしQCDが製造業において、具体的にどのような意味を持っているのか、少し理解しづらい部分もあります。今回は、QCDの基本を初心者向けに4つのポイントで解説したいと思います。QCDが製造業で重要な理由やそれぞれの関係性も紹介するため、理解を深めたい人はご参考にしてみてください。

QCDとは

QCDは、以下の3つの要素のことを指します。

  • 品質(Quality)
  • コスト(Cost)
  • 納期(Delivery)

品質、コスト、納期は独立した要素とはなりますが、QCDという用語においては、それぞれが関連し、依存している関係となっています。

例えば、

  • 【品質】が悪いと不良品発生による手戻りが増え、【納期】遅れが生じる
  • 【コスト】を削減した結果、【品質】が落ちてしまった
  • 【品質】を高くできたが、【コスト】がかかりすぎて利益率が下がった

など、QCDのある要素が変化すれば、他の要素にも影響を与えることになります。企業全体の生産性を高めて発展するためには、QCDの各要素のバランスを管理しながら、満たしていくことが大切です。

QCDが製造業で重要な理由

QCDは主に、製造業の現場やマネジメントの場で使われます。製造業では、製品の品質を保ち、出来るだけコストを下げ、納期遵守できるかどうかが重要なポイントになります。

そのためQCDが最適化されている状態では、製品の品質や利益率が高くなります。生産プロセス全体の改善に関わるため、QCDの改善行動は、生産プロセスの最適化にもつながることが特徴です。

QCDを最適化するために、各要素の水準を満たしてバランスを保つことは前提ですが、特にどの要素を重視するかは企業の個性になります。

  • 品質はやや劣ってもコストの低さを重視→低価格が売りの企業になる
  • コストは高いがスピーディーな納品を重視→短納期が売りの企業になる

企業の個性は他社との差別化につながり、優位性の高さにもなります。QCDのどの要素を重点的に伸ばしていくのかを考えて実行すると、結果的に製造業の企業として競合性も高まります。

取り組みを絞る

業務効率化が上手くいかない原因は、一度に複数の取り組みをしているからかもしれません。業務効率化では、一部の業務を変更したり省いたりすることがあります。一部の業務を変えることは、業務プロセス全体に影響を及ぼすことでもあります。

あれこれ一度に手を付けてしまうと、業務プロセス全体に大きな混乱を与えてしまい、何が何だかわからなくなってしまうことは、よくあるケースです。業務効率化を成功させるためには、優先順位をつけたうえで、取り組みを絞ることが特に大切です。

一つ一つ小さな成功体験を積んでいくことで、従業員のモチベーションも高まり、結果的に業務効率化の大きな成果を得られます。

QCDの関係性

QCDの各要素は、互いに影響し合っています。ポイントは、QCDの中の一つの要素を優先すると、他の要素が犠牲になってしまう、トレードオフの関係にあることです。

  • 【品質】を優先させると検査工数などが増えて【納期】遅れが生じやすくなる
  • 【コスト】を優先させると【品質】が落ちてしまう
  • 【納期】を優先させると多大な【コスト】がかかる

QCDの最適化には各要素のバランスを整えることが必要ですが、すべてを優先することは非常に難しく製造業の課題となっています。したがって、QCDの実現のためには、各要素の優先順位を付けることが大切です。

ただし、【品質】は顧客の要求する水準を満たしていることが大前提になります。どれだけコストが低くて納期が早くても、顧客が満足する品質でなければ意味がないからです。

一般的には、QCDの優先順位は品質>納期>コストになります。

ただ、納期とコストの優先順位については、必ずしもこうなるとは限りません。顧客の要望や状況、納期までの余裕や予算によっては、コスト>納期になることもあります。

品質ファーストは基本ですが、納期とコストの優先順位は、状況によって柔軟に変えるようにしましょう。

QCDの各要素の管理方法

QCDの各要素の、具体的な管理方法を紹介します。

品質(Quality)の管理方法

  • 製品の品質水準を定めて徹底する
  • 品質水準に満たない場合は、不良品として処理を行う。また品質を向上させるための活動を推進する。

コスト(Cost)の管理方法

  • 材料などの費用以外にも人的コストも含めた総コストを計算する
  • 品質水準を満たした製品を、納期までに生産するために必要な予算を立てる
  • 外的要因やトラブルなどで、コストに変動がありそうな場合は再調整する

納期(Delivery)の管理方法

  • 生産工程を見える化して工数と時間に配慮したスケジュールを立てる
  • 進捗状況を常に確認しながら調整をしていく

管理方法はそれぞれ違いますが、生産から出荷までのプロセスを管理するという点が、共通しています。QCDが管理できているということは、生産プロセスが無理なく、最適な状態であることを指しているのです。生産プロセスの改善が、QCDの改善にもつながります。

QCDの派生について

近年、QCDにさらに要素を加えた、以下のような派生用語も使われるようになってきました。

  • QCDE:(E:Environment【環境】)
  • QCDS:(S:Service【顧客対応】)
  • QCDF:(F:Flexibility【柔軟性】)
  • QCDR:(R:Risk【リスク】)

グローバル化やIoT化が急速に進み、顧客のニーズが多様に変化している現代では、企業も時代に合わせて考え方を変えていくことが大切です。自社の競争力を高めるためにも、QCDの範囲に限定せず、必要な要素を加えて、企業の強みとして活かしていきましょう。

QCDをバランス良く満たすことが製造業の鍵になる(まとめ)

QCDの最適化は、製造業の企業発展や利益向上に直結します。製造業では製品の品質を保ちながら、なるべくコストを下げ、納期遵守できるかどうかが最も重要だからです。

QCDは3つの要素で構成されており、互いに影響し合っていることが特徴です。
一つの要素を優先すると他の要素が犠牲になってしまう、トレードオフの関係性であるため、優先順位を付けながらバランスを見ていくことが大切です。

優先順位を付けるときは品質ファーストで、コストと納期は状況に応じて柔軟に対応しましょう。また顧客のニーズが多様化している現在では、QCDだけでなくプラスで要素を加えた、派生的考え方を取り入れていくことも重要です。

今日のポイント

  • QCDとは、品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)の頭文字をとった用語
  • QCDが製造業で重要な理由は製品の品質を保ちながら、なるべくコストを下げ、納期遵守できるかどうかが企業の存続に関わるから
  • QCDは一つの要素を優先すると他の要素が犠牲になってしまうトレードオフの関係にある
  • QCDにはQCDE(E:Environment【環境】)やQCDS(S:Service【顧客対応】)など派生用語がある
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