在庫管理を見える化する方法3つ｜メリットとExcelの活用事例も

在庫管理を見える化するメリット

在庫数を明確に把握している現場は、意外と少ないものです。膨大に積み上がる在庫を効率的に管理するのは難しく、在庫切れや過剰在庫が発覚したら、その都度対応してしまっている現場が多くあります。

そこで今回は在庫管理を見える化するメリットについてご紹介します。

在庫切れや過剰在庫を防止できる

企業にとって在庫切れによる生産ロスや過剰在庫は、大きな損失になります。

在庫切れは機会損失や顧客満足度の低下につながり、過剰在庫は保管費用の発生や長期保管による在庫の劣化を招くからです。在庫管理では、必要な在庫をコントロールし、適正な数だけ保存できるように努める必要があります。

そのため適正な数だけ在庫を抱えるためには、常に在庫数を明確に把握しなくてはいけません。このように在庫管理を見える化する大きなメリットは、誰もが一目でわかるように管理し、在庫数が明確になることです。

在庫が少なくなっていることや適正在庫であることも一目でわかるようになるため、発注忘れや不必要な追加発注を防げます。

在庫管理の効率が上がる

在庫管理を見える化すると、在庫が「どこに」「何が」「いくつ」あるのか、把握しやすくなります。在庫数を調べたり探したりする手間が省けるため、在庫管理の効率が上がることがメリットです。

在庫管理の見える化では、誰が見てもわかるようにすることを目指します。「◯◯さんならわかる」というような属人化も解消でき、誰でも効率的に在庫確認ができるようになることもメリットです。

また、在庫管理の見える化では、在庫現品だけでなく、在庫情報の見える化にも取り組みます。

• 在庫現品の見える化…倉庫内で在庫現品が「どこに」「何が」「いくつ」あるか、一目でわかるように整えること
• 在庫情報の見える化…入出庫のたびに記録をとることで、倉庫外でも正確な在庫数を把握できるようにすること

在庫現品の見える化と在庫情報の見える化、両方に取り組むことで、より在庫管理の効率を上げられます。

スペースを有効活用できる

在庫管理の見える化では、適正な在庫数を把握するために倉庫内の整理・整頓を行います。在庫管理を見える化すると過剰在庫を防止できるため、在庫を溜め込むことが無くなり、保管スペースを有効活用できることがメリットです。

過剰在庫のために使っていたスペースを管理する手間も省け、コスト削減にもなります。

発注業務を簡素化できる

在庫管理の見える化ができていないと、発注をするときに、倉庫に行ってわざわざ在庫数を確認する手間が生じます。これは単純な作業にも思いますが、とても非効率な業務になります。

在庫管理を見える化すると、在庫を一目で確認できるようになりますので、発注業務を簡素化でき、なおかつ適正な発注ができることがメリットです。

在庫管理を見える化する方法3つ

在庫管理を見える化するためには、在庫数の把握と効率的な管理環境を整える必要があります。在庫を整理するだけではなく、効率的な管理を継続的にできるよう工夫しなくてはいけません。

在庫管理を見える化する方法3つを解説します。

1.5Sを活用する

5Sとは、製造業の現場の業務改善のために効果的な以下の5つの要素のことです。

• 整理
• 整頓
• 清掃
• 清潔
• しつけ

在庫管理の数が把握できていない主な原因は、倉庫内の乱雑な環境にあります。在庫の数や種類が増えるほど、管理は難しくなるものです。しかし、乱雑な環境では在庫が「どこに」「何が」「いくつ」あるのかを把握するのが困難で、作業者は在庫の確認や発見に時間を取られてしまいます。

在庫を保管している倉庫内で5Sを徹底すると、作業者の能力に関係なく、在庫の確認や発見ができるようになります。ポイントは、整理・整頓・清掃・清潔にした倉庫内の状態を継続させる（しつけ）ことです。

在庫管理が見える化しても、その状態を保ち続けられなければ意味がありません。各在庫の置き場所を色の違うテープで囲む、棚にラベリングをする、一定数以上の在庫は置けないようにする、など、作業者全員が5Sを徹底し、維持管理が続けられるような工夫が必要です。

2.Excelで工夫する

在庫管理を見える化するために、Excelで工夫して在庫管理表を作成する方法もあります。在庫管理表とは、保管している在庫の数や入出庫の記録などを、正確に把握・管理するための表です。

作業者に在庫の入出庫をする度に、数量や日付をExcelに入力してもらうことで、在庫管理の徹底を目指します。

Excelの在庫管理表があれば、倉庫に足を運ばなくても表を見て、在庫情報を把握できることがメリットです。しかし、Excelで在庫管理表を作成しても、入力は作業者の手作業になります。

入力漏れやミスなどのヒューマンエラーが必ず生じるため、在庫管理表の情報が正しいとは限りません。棚卸しをしてみると、Excelの在庫管理表と大きな差異が出る可能性が高く、適正に管理することが難しいことがデメリットです

3.システムを導入する

在庫管理を最新のIT技術で自動化できる「在庫管理システム」を導入する方法もあります。在庫管理システムには、主に以下のような機能があります。

• 在庫一覧機能…在庫を登録することで、数や種類を表示
• 入出庫管理機能…入出庫の記録を表示
• 在庫移動機能…倉庫間などで在庫移動をしたときの記録を表示
• ピッキング機能…ピッキングする在庫のリストを作成
• 棚卸し機能…棚卸しの記録と分析結果を表示

これらの機能を活用すれば、在庫管理の見える化はすぐに実現します。在庫管理システム導入には、コストや作業者の教育期間が発生しますが、ヒューマンエラーが起こりにくく、在庫の数や種類が多くても効率的に管理できるメリットがあります。

作業者の目視による在庫確認や手作業入力といった労力を省けて、正確な在庫管理が実現します。現場の管理者にとっても、Excelでの表作成やアナログ的管理、ヒューマンエラーの原因追求や改善などの手間が省けるため、在庫管理に投入するリソースが少なくなります。

在庫管理システムの導入による在庫管理の見える化は、作業者にとっても管理者にとっても、負担が少ない方法です。他の注力するべき業務に時間を割けるため、企業全体の生産性向上も見込めます。

在庫管理の見える化はシステム導入がおすすめ（まとめ）

在庫管理の見える化は、在庫管理を飛躍的に効率化します。企業にとって損失の大きな在庫切れや過剰在庫を防止できるため、全体の生産性向上に直結することが大きなメリットです。

在庫管理を見える化する方法には「5Sの活用」「Excelで工夫」「システム導入」があります。5Sで在庫を保管している倉庫内を整理・整頓・清掃・清潔にし、継続できるようにしつけます。

さらに、Excelで在庫管理表を作成すれば、在庫数や入出庫の記録と閲覧が可能です。しかし、5SやExcelの在庫管理表による在庫管理の見える化はアナログ的で、ヒューマンエラーが起こりやすいデメリットがあります。

在庫管理を見える化する方法としておすすめなのは、在庫管理システムの導入です。導入コストや扱いに慣れるまでの期間は生じますが、作業者にとっても管理者にとっても負担が少なく、正確な在庫管理と見える化を実現できます。

今日のポイント

• 在庫管理の見える化とは、在庫管理状況を誰が見てもわかるようにすること
• 在庫管理を見える化するメリットは、在庫切れや過剰在庫を防止でき、在庫管理の効率を上げ、スペースの有効活用と発注業務の簡素化ができること
• 在庫管理を見える化する方法3つは「5Sの活用」「Excelで工夫」「システム導入」