時間で生産性を表す人時生産性を向上させる方法4つ!重要性とメリットも紹介
時間で生産性を表す人時生産性とは、従業員1人に対し、1時間の労働に対する生産性のことを指します。生産性を表す指標はいろいろとありますが、人時生産性は従業員1人が1時間働くときの粗利益を、わかりやすく算出できるのが特徴です。そのため、人時生産性を算出すれば、企業が付加価値を効率的に生み出せているかがわかります。
結果的に人時生産性の向上は、そのまま企業の発展や利益追求につながるのです。今回は、時間で生産性を表す人時生産性を向上させる方法について4つ紹介します。労働生産性や人時売上高との違い、人時生産性の計算方法なども解説するため、ご参考にしてみてください。
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時間で生産性を表す【人時生産性】とは
人時生産性では、従業員1人が1時間働くときの生産性を指標とします。売上高から売上原価を引いた粗利高を使って算出するため、従業員1人が1時間働くときの純粋な付加価値を表せることが特徴です。数ある生産性指標の中でも、人時生産性は重要な一つとして活用されています。
人時生産性が注目されるようになった背景
人時生産性が注目されるようになった背景は、労働人口の減少と働き方改革にあります。日本は、少子高齢化による労働人口不足が深刻化しています。人員不足でも企業が利益をあげるには、ITツールや機械を活用しながら、従業員1人あたりの生産性を高めていく必要があるのです。また、近年はさまざまな分野で働き方改革が進んでいます。
製造業においても残業時間の削減や有給休暇取得の義務化など、今まで以上に少ない人員と短い労働時間で、高い生産性を保つことが求められているのです。
これまでのように、多くの人員と長い時間労働で生産性を高めていくのではなく、より少ない人員と短い労働時間で高い生産性を保つにはどうすればいいか。人時生産性の向上を目指すことは、これからの日本の企業にとって重要な項目です。
労働生産性や人時売上高との違い
人時生産性と似た言葉に、「労働生産性」や「人時売上高」があります。まず、労働生産性は、投入する労働資源に対して、どれほどの成果をあげるのか判断するときに利用する指標です。
従業員1人が成果を生み出すときの効率を数値化したもので、付加価値だけでなく、生産量で判断することもあることが、人時生産性との違いになります。労働生産性の算出効果が発揮されるのは、従業員がいかに効率的に生産できているかを知りたいときです。
次に、人時売上高は、従業員1人が1時間働いて、どれだけの売上を生み出したかを算出する指標です。人時生産性は粗利益を成果として扱うのに対し、人時売上高は売上を対象としているのが違いです。
人時売上高は、材料費や人件費などのコストを考慮していないことが、特徴となっています。人時売上高の算出効果が発揮されるのは、同じ業種間での生産性を比較するときです。
人時生産性の計算方法
人時生産性は、下記の計算式で算出します。
人時生産性=粗利益高÷総労働時間
算出された数値は、どれくらいの労働時間を投入した結果、どれくらい稼げたのかを表します。ここでは具体的な数字を使用して、算出してみます。
人時生産性の計算例
【企業A】
総労働時間:120時間
粗利益:150万円
計算式:150万円(粗利益)÷120時間(総労働時間)=12,500円/人/時間(人時生産性)
【企業B】
総労働時間:100時間
粗利益:150万円
計算式:150万円(粗利益)÷100時間(総労働時間)=15,000円/人/時間(人時生産性)
両者を比較する場合、人時生産性が高いのは企業Bで、労働効率性がより高いことになります。
人時生産性を向上させる方法4つ
人時生産性を向上させるためには、主に「削減」や「見直し」が必要になります。人時生産性を向上させる具体的な方法を4つ紹介します。
人件費を削減する
人件費を削減すれば、人時生産性の計算式の分母である、総労働時間を下げることができます。ただし、人件費の削減は慎重に行わないと、優秀な従業員を失ったり人員不足が生じたりと、逆に生産性を低下させてしまうリスクもあります。
人件費の削減を検討するときは、従業員1人1人の能力や生産性を見極めて、慎重に削減が必要かどうかを検討することが大切です。
適切な人員配置をする
人件費を削減しなくても、適切な人員配置になるよう見直すことで、人時生産性が向上することもあります。まずは、現状把握として、従業員の動きのロスやムダを、正確に知ることから始めましょう。また従業員へのヒアリングも積極的に行い、それぞれが最大限の能力を発揮できるよう、適材適所な配置を目指すことが大切です。
業務効率化で労働時間を減らす
業務の中のムダを洗い出し、そこに当てている時間や労力をカットすれば、必然的に人時生産性は高くなります。まずは業務効率化できそうな点はないか、探してみましょう。
業務効率化を実行するときの注意点は、活動を継続できるようにPDCAサイクルを回し続けることです。一過性で継続のできない業務効率化は、人時生産性を一時的に高めることにしかなりません。長期視点での試みとして、取り組む姿勢が重要です。
設備投資を増やしてITツールを積極的に導入する
人時生産性を向上させるためには、機械に任せられることは機械に任せることも重要です。人員の数と働ける労働時間は、限られています。人時生産性を高めて従業員1人が1時間働くときの粗利益率を向上させるには、人員に対するリソースを人にしかできない付加価値の高い業務に集中する必要があります。
設備投資を増やして最新のITツールを適切に導入できれば、より効率的な生産が可能になります。従業員の能力を高める努力だけでなく、機械に頼りながら協働していくスタンスを持つようにしましょう。
人時生産性はこれからの時代において重要な指標(まとめ)
人時生産性の計算方法や判定は、とてもシンプルです。粗利益高÷総労働時間で算出できるため、従業員1人が1時間働くときの生産性を、わかりやすく表してくれます。ポイントは、人時生産性で扱う成果が粗利益であることです。材料費や人件費などのコストを考慮していない指標と違って、従業員1人が1時間でどれくらいの純粋な利益を生み出しているのかがわかります。
人時生産性の指標は、労働人口不足や働き方改革が進んでいる日本にとって、今後はより重要な数値となってきます。人時生産性を向上させるためには、人件費を削減したり適切な人員配置をしたりすることが有効です。
業務効率化や設備投資を増やして、ITツールを導入する手段もあります。少ない人員と短い労働時間で、いかに生産性を高められるかを考え試行錯誤することが、人時生産性向上の鍵となるでしょう。
今日のポイント
- 人時生産性とは従業員1人が1時間働くときの生産性のこと
- 人時生産性が注目されるようになった背景は労働人口の減少と働き方改革にある
- 労働生産性や人時売上高との違いは扱う成果にあり、人時生産性が対象とするのは粗利益
- 人時生産性の計算方法は、人時生産性=粗利益高÷総労働時間
- 人時生産性を向上させる方法4つは「人件費の削減」「適切な人員配置」「業務効率化」「設備投資を増やしてITツールを導入する」こと
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