現場の作業効率を上げる5つの方法!製造業での事例も紹介

「日々の仕事に追われて、改善活動にまではどうしても手が回らない。」
中小製造業の現場では、このような悩みが尽きません。
人手不足が進む製造業界では、限られた人数と時間で、いかに成果を最大化するかが企業の存続に関わる課題となっています。
本記事では、製造業における「作業効率」について、定義をおさらいし、5つの改善ポイント、そして成功事例を紹介します。
コンテンツ
作業効率とは?
まずは、「作業効率」という言葉について整理しましょう。
作業効率の定義
製造業における作業効率とは、簡潔に言えば「投下した資源(インプット)に対して、どれだけの成果(アウトプット)を生み出したか」の比率です。数式で表すと以下のようになります。
作業効率 = 成果 ÷ 資源
※成果=生産量・品質・付加価値
※資源=時間・人・コスト
つまり、作業効率を上げるには以下2つのアプローチがあります。
★同じ時間・労力で、より多く(より良く)作る
★同じ生産量を、より短い時間・少ない労力で作る
作業効率と生産性の違い
「作業効率」と「生産性」は混同されがちですが、両者の定義と役割は異なります。
シンプルに表すと、作業効率は「生産性を高めるための手段」です。
作業効率(Work Efficiency)
定義:「決められた時間」で、どれだけ多くの作業を正しくこなせるか
役割:個々の作業スピードや、工程ごとの処理能力を高めること
生産性(Productivity)
定義:投入したコスト(人・モノ・時間)に対して、どれだけの「利益」を生み出したか
役割:工場全体として、最終的な成果を最大化すること
「見せかけの効率化」に注意
手が遅い、ムダな動きが多いなど作業効率が悪ければ、当然ながら生産性も上がりません。
ですが、ただ闇雲に手を速く動かすだけでは不十分です。
例えば、ある工程の作業時間を半分にしたとします。
しかし、その結果として前後の工程で「待ち時間」が発生しているなら工場全体の生産性は上がっていません(=作りすぎのムダ)。作業効率を正しい方向で向上させることが、工場全体の生産性向上につながります。
作業効率を上げる5つの方法
先述したように、製造業における作業効率化とは、単にスピードを上げることではありません。「付加価値を生まない時間」を削ぎ落とすことです。作業効率を上げるための方法を5つ解説します。
段取りを見直して手待ち時間をなくす
「段取り八分(仕事の成果の8割は準備で決まる)」という言葉がある通り、作業が始まる前の準備こそが効率化の要です。
作業中に「必要な部材が届いていない」「治具が見つからない」といった理由で手が止まる「手待ち時間」は、生産性を下げる要因の一つです。
- ★改善のタネ
- 事前準備の徹底:始業前や前日に、その日に使う治具・図面・材料を揃えておく
- 外段取り化:機械を止めて行う作業(内段取り)を、機械が動いている間に行える作業(外段取り)へと移行
3M(ムリ・ムダ・ムラ)を排除する
トヨタ生産方式でも知られる「3M」の視点で現場を観察し、効率を阻害する要因を取り除きます。
注力すべきは、付加価値を生まない「ムダ」の排除です。「忙しく動いている=効率が良い」ではありません。その動きが本当に利益を生んでいるか、冷徹な視点で見直すことが重要です。
- ムリ=人や機械に対する過負荷
- ムダ=付加価値を生まない作業
- ムラ=品質やスピードのばらつき
- 特にムダは、7つのムダ(=かざふてつどう)を発見する
- か=加工のムダ
- ざ=在庫のムダ
- ふ=不良・手直しのムダ
- て=手待ちのムダ
- つ=作り過ぎのムダ
- ど=動作のムダ
- う=運搬のムダ
5Sを徹底して「探す時間」をゼロにする
5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)は、単なる美化活動ではありません。製造現場においては、「モノを探す時間をゼロにする」ための物理的な環境整備です。
例えば、工具を探すのに1回30秒かかり、それを1日20回繰り返せば、1人で1日10分のロスになります。10人いれば年間で数百時間の損失です。
- ★改善のタネ
- 定位置管理(姿置き):使った工具を必ず同じ場所に戻す仕組み(定位置・定品・定量)を作る
- 赤札作戦(整理):現場に「いつか使うかもしれないもの」を置かず、必要なものだけを残してスペースを確保する
作業動線を整えて移動のロスを減らす
部材を取りに行くために何度も往復したり、工程間の距離が遠すぎて運搬に時間がかかったりしていないか、工場内のレイアウトや作業者の動き(動線)そのものを見直します。
「歩いている時間」は何も生産していないため、作業中の歩数を減らすことが作業効率向上につながります。
- ★改善のタネ
- スパゲッティ・チャートの作成:作業者の動きを平面図に線で書き込み、重複や長距離移動を可視化する
- レイアウトの最適化:部材供給を背後から行う、U字ラインにして少人数で回せるようにするなど、歩行距離を短縮する配置に変える
作業マニュアルを整備して「属人化」を防ぐ
特定のベテラン従業員しかできない作業がある状態(属人化)は、長期的に見ると効率化の妨げになります。
その担当者が不在の時にラインが止まったり、人によって作業スピードや品質にバラつきが出たりするためです。
- ★改善のタネ
- 暗黙知の形式知化:ベテランの頭の中にある「コツ」や「カン」を言語化し、誰でも再現できるようにする
- 動画マニュアルの活用:文字だけでは伝わりにくい微妙な動きやタイミングを動画で残し、教育コストを下げる
作業効率を上げるためのアイデア!製造業での事例を紹介
作業効率をアップさせたいときは、実際の企業の改善事例を参考にするのがおすすめです。そのまま取り込むのではなく、自社に合った形に反映させながら、始めてみましょう。
梱包袋の仕様を見直してコスト削減
機械部品を製造している会社では、製品を梱包する際に品番やバーコードを印字していました。さらに、注記が必要な場合は、印字とは別に取扱いシールを貼っていました。取り扱いシールを貼る手間がかかることや、貼り忘れなどの心配があることがデメリットです。
そこで、品番とバーコードを印字する時に、注記も合わせて印字することに変更。結果、取り扱いシールを貼る手間がなくなり、効率アップとコスト削減につながりました。
※参考出典:イマオコーポレーション公式サイト
バックミラーを設置してフォークリフトでの作業を安全化
機械部品を製造している会社では、梱包用の木箱を2階で管理しており、下ろす際はフォークリフトを使用していました。問題は2階でのフォークリフト作業が難しく、事故のリスクが高かったことです。
そこで、社内にあったトラック用のバックミラーを2階に取り付けることで、状況を確認できるようにしました。
安心して作業できるようになり、新人スタッフもスムーズにこなせるようになったため、効率アップを実現しました。
※参考出典:イマオコーポレーション公式サイト
情報を一元管理できるITツールを導入して入力作業を簡略化
プレス加工業を営む会社では、製品の不具合の情報共有にExcelを使っていました。問題は、入力作業に時間がかかることと、情報共有しにくい点です。そこで、情報を一元管理できるITツールを導入。結果、入力作業が簡略化され、共有できる情報も増えました。
※参考出典:NTT東日本
なぜ自社だけでは「作業効率化」が難しいのか?
「作業効率化が大事なのはわかっている。でも、なかなか推進できない」
多くの方が抱くのは、このような本音ではないでしょうか。
なぜ自社だけで改善を進めることが難しいのでしょうか?
現場の抵抗感(現状維持バイアス)
現場の職人やベテラン従業員にとって、慣れ親しんだやり方を変えることはストレスです。
「今のままで問題ない」「新しいことを覚えるのが面倒」という心理的な抵抗(現状維持バイアス)が、改善の大きな壁となります。
日々の業務に追われている(リソース不足)
これが最大の要因と言っても過言ではないでしょう。
納期に追われる現場では、「今日の生産」が最優先され、「明日のための改善」は後回しにされます。
「改善活動をする時間を作るための、改善をする時間がない」というジレンマに陥っている現場は非常に多いのです。社内のリソースだけで限界を感じた場合、外部の専門家への相談が突破口になります。
作業効率を上げるなら「工場診断」で改善のタネ探し
「忙しくて改善のための時間がとれない」
「課題が多すぎて、何から手をつけていいか分からない」
そうお悩みの管理者様は、ぜひ一度製造業専門のコンサルタント「あおい技研」にご相談ください。製鉄・組立系産業・食品・医療機器・化学系素材など、日中合わせて80以上のものづくりの現場における診断・視察実績を持っています。
【1】工場構内の物流改善
実際に工場を訪れ、材料・部品・製品が「どこからどこへ」「誰が」「何回」運んでいるかを可視化します。第三者視点から、「当たり前になっているムダ」を発見します。
- 材料・部品・製品などモノの流れを可視化
- 置き場(保管位置)や動線、台車・フォークリフトの使い方を整理
- 運搬時間・人手・渋滞・探す時間が減って、現場のフットワークが軽くなる
【2】工程分析でムリ・ムラ・ムダを数値化
作業を工程ごとに分解して観察・計測してムリ・ムラ・ムダを特定します。「〇〇さんしかできない」と思われていた作業の標準化への道筋を作ります。
- 作業を「動作」「手順」「時間」に分けて観察・計測(ムリムダムラ探し)
- 手順の標準化、治具の工夫、段取り改善、レイアウト変更などのご提案
- 作業時間短縮・手戻り減・品質安定
【3】作業効効率化・労働生産性の向上
現場の一日の動きを細かく追って、作業時間を可視化します。同じ人数でより多く効率的に製造できるように、時間の使い方を最適化してご提案いたします。
- 人がどこで時間を使っているか(付加価値・非付加価値)を分析
- 待ち・移動・探し・やり直し・段取りを減らす
- 残業時間の削減・人手不足対策・原価改善につながる
まずは「お試し工場診断」から(1~3日)
「いきなりコンサルティング契約はハードルが高い」という方のために、1~3日のお試し工場診断もご用意しております。第三者の視点で現場を見ることで、社内では気づかなかった「改善のタネ」が見つかります。
「工場に課題があることはわかるが、どこから手を付けたら良いかわからない」
そんな段階でのご相談も大歓迎です。まずは現状のお悩みをお聞かせください。
まとめ
製造業において、作業効率を上げることは単に手を速く動かすことではありません。5Sや動線見直し、情報の可視化を通じて、現場の「探す・待つ・迷う」といった付加価値を生まない時間を排除することです。
そしてそれは、結果として従業員の負担を減らし、会社の利益(生産性)を最大化することにつながります。
しかし、長年の慣習が染み付いた現場を自社だけで変えるのは、心理的にもリソース的にも困難なのが現実です。
「どこにムダがあるのか客観的に見てほしい」「改善を進めたいが、何から手をつけるべきかわからない」とお悩みであれば、ぜひ一度、製造業専門コンサルタントのあおい技研へご相談ください。豊富な現場診断の実績をもとに、現場に隠れた「改善のタネ」を見つけ出して伴走いたします。
製造業のDXはあおい技研
株式会社あおい技研は、製造業に特化した業務改善コンサルティングを提供し、製造現場のDX推進をサポートします。80以上の製造現場での診断や改善の経験を活かし、お客様に合ったDX戦略を提案します。
データ分析、業務効率化システムの開発、現場のデジタル化などを通じて、お客様の業務改善と生産性向上を支援します。
製造業のDXについては、あおい技研にご相談ください。
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