ベンダーコントロールとは?定義やToDoを解説

「よくわからないけど、とりあえずこの会社に頼もう」
そんな感覚でベンダーを選んでいませんか?
ベンダーに業務を委託するとき、発注さえすればあとはお任せできると思いがちですが、実はここからがスタートです。
ベンダーとのやりとりがスムーズにいかないと、納期遅延のリスクや認識成果のズレを招きます。
しかし、そもそも「ベンダーって何?」といった基本が曖昧なまま、なんとなく進めてしまっている企業も多いかもしれません。

本記事では、発注側の立場からベンダーコントロールの定義やToDo、難しいポイントを解説します。

そもそも、ベンダーとは?

ベンダー(vendor)とは、直訳すると「売り手」「販売業者」です。
つまり、製品やサービスを他の企業や消費者に提供する立場を指します。
ただし、日本語のビジネスシーンで「ベンダー」と言うと、単に「売り手」だけでなく、業務委託先、外部パートナー、下請け業者など、「自社に対して何かを提供してくれる外部の企業」全般を指すこともあります。

ベンダーの例

■IT業界

システムやソフトウェアを提供する企業

(例)クラウドベンダー、ハードウェアベンダー、SIer

■広告業界

広告枠やツールを提供する企業

(例)DSPベンダー、アドネットワークの運営会社

■医療業界

医療機器や薬品、システムなどを納入する企業

(例)電子カルテの開発会社、手術器具メーカー、製薬会社

■製造業界

部品や原材料を供給する企業

(例)自動車部品の一次・二次サプライヤー

 

ベンダーと混同されがちな言葉

ビジネスの現場では、「ベンダー」という言葉が他の用語と混同されることがよくあります。
ここでは、特に間違えやすい「メーカー」と「サプライヤー」の違いを押さえておきましょう。

■メーカー
メーカーは基本的に「製造する側」。
自社で商品を開発・製造して、それを他社に売るなら、そのときの関係は「ベンダー」と言えます。
ただし、「メーカー=必ずベンダー」ではありません。
自社製品を他の商社に卸しているだけで直接売っていない場合は、実質的に「販売ベンダー」は別の会社になります。

■サプライヤー
サプライヤーは、主に原材料や部品などを供給する企業のこと。
特に製造業でよく使われる言葉で、「供給者」と訳されます。
ベンダーは「モノやサービスを提供する企業」全般を指しますが、サプライヤーは供給に特化した存在。
ITやサービス業界ではあまり使われず、物理的な製品の調達に関わる場合に用いられます。

ベンダーコントロールでは何をする?

ベンダーコントロールとは、外部の取引先(ベンダー)との関係を適切に管理し、安定した品質・納期・コストを維持するための仕組みづくりです。
ただ「発注して終わり」ではなく、取引前から納品後まで、各フェーズでやるべきことがあります。
例えば、以下の業務が含まれます。

■ベンダーの選定
どの会社と付き合うかを見極める段階です。
費用・品質・実績・スピード・相性など、複数の観点で比較して、「安心して任せられるか?」を判断します。
ここを雑にやると、後でトラブルが起きやすいので慎重に。

■契約・条件の調整
業務範囲、納期、成果物、報酬、責任範囲などを明確にするプロセスです。
発注側と受注側における認識のズレをなくしておくのが大切。
「言った・言わない」を防ぐため、文書化・契約書化はマストで行いましょう。

■業務の進捗管理
プロジェクトや業務が、予定通り・期待通りに進んでいるかをチェックします。
遅延やトラブルが起きていないか、定例ミーティングやレポートなどで確認しながら必要に応じてサポートを行います。
丸投げはNGで、外注しているとはいえ「責任は自社にもある」というスタンスで見守ります。

■品質管理・成果物チェック
納品されたものが仕様通りか、期待に見合う品質かを確認します。
不備があれば差し戻しや改善依頼を出します。
「一発OK」が理想ですが、現実的にはフィードバック込みで仕上げていくのが基本です。

■コミュニケーション管理
ベンダーとの対話を重ね、信頼関係を築くことも仕事のひとつです。
一方的な指示だけでなく、対等なパートナーとして協力関係をつくることで、トラブルのリスクを減らせます。

■リスク管理
情報漏洩、品質トラブル、納期遅延など、ベンダー由来のリスクをどう最小化するかも重要。
契約書やガイドラインでの事前防止、万が一事故が起きたときの対応方針も含めて備えましょう。

ベンダーコントロールの難しさ

ITや業界知識が必要

特にIT系のベンダーを相手にする場合、プロジェクトの会話には「API連携」や「サーバ構築」といった専門用語や技術的な前提が出てきます。
発注側がそれらを理解していないと、要件のすり合わせ、進捗報告、成果物の品質を正確に把握するのは困難です。
その結果、

・不要なコストがかかる
・やってほしいことが伝わらない
・進捗報告があっても意味が分からない

といった事態に陥るリスクがあります。
そのため、発注側にも最低限のITリテラシーが求められます。
「よくわからないけど任せた」では、コントロールはできないと思いましょう。

ベンダー側の作業がブラックボックスになりがち

ベンダーの仕事は、発注側からは見えにくいもの。
特にソフトウェア開発やシステム運用などの知的労働系の業務では、「今どこまで進んでいるか」「なぜ遅れているのか」が不透明になりがちです。

・頻繁に「調査中です」と言われるが、何を調べているのか不明
・「進捗70%です」と言われるが、残り30%がどれほど大変なのか説明がない
・テスト段階に入ってから、初めて大きな仕様ミスが発覚

上記のような事態を避けるためには、チャートやツールで、進捗を「見える化」できる仕組みづくりが大切です。
また、中間チェックを組み込んで、段階的に成果物へのフィードバックを行いましょう。

信頼関係が築けない

「お金を払ってるんだからやって当然」というスタンスでは、信頼関係は築けません。
「一緒にいいものをつくる」という意志があると、ベンダーのモチベーションや柔軟性も変わってきます。

・急ぎの依頼に快く対応してくれる
・想定外の課題にも主体的に提案してくれる
・「こうしたほうが良くなる」と改善案を出してくれる

このような動きは、仕様書にも契約書にも書かれない人間関係の温度から生まれるもの。
社外とはいえ、プロジェクトを成功させるための「チームの一員」だと捉えることで成果が変わります。

ベンダーコントロールのサポートが欲しいなら

先述したように、ITの知識が必要だったり、相手の作業が見えづらかったり、ベンダーコントロールには想像以上の難しさがあるもの。
単に発注するだけではダメと気づいても、ではどう進めればいいのか?と迷ってしまうこともあると思います。
もし「自社だけでやりきるのは不安」と感じているなら、プロのサポートを頼るのもひとつの選択肢。
製造業に特化したコンサルティング会社「あおい技研」なら、現場に寄り添ったIT支援が可能です。

・ベンダーとのやりとりをスムーズにしたい
・システム開発やIT導入をもっと主体的に進めたい
・でも、技術的なことにはそこまで詳しくない

このような場合に、クライアントサイドの伴走者として、あおい技研が支援できます。
Excel業務の見直しから、小規模なシステム開発、ベンダーとの調整・交渉まで。
「うちの状況でもお願いできるのかな?」と思ったら、ぜひ気軽にご相談ください。

まとめ

・「ベンダー」は外部の提供企業全般を指す言葉で、業界によって意味合いが少しずつ異なる
・ベンダーコントロールとは、外注先との関係を円滑に進めるための管理業務のこと
・やるべきことは、選定・契約・進捗確認・品質チェック・コミュニケーション・リスク管理など多岐にわたる
・IT知識や業務理解がないと、ベンダーとのやり取りがブラックボックス化してしまいやすい
・一方的な管理ではなく、パートナーとして信頼関係を築くことがプロジェクトの成功につながる
・ベンダーコントロールがうまく進められるか不安な場合、あおい技研のようなプロのコンサルタントを活用するのも選択肢のひとつ

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株式会社あおい技研は、製造業に特化した業務改善コンサルティングを提供し、製造現場のDX推進をサポートします。80以上の製造現場での診断や改善の経験を活かし、お客様に合ったDX戦略を提案します。

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