業務改革プロジェクトを成功に導くコンサルタントの役割と活用ポイント
業務改革プロジェクトを成功に導くためには、コンサルティング会社を効果的に活用することが、重要なポイントの一つとなります。
今回は、業務改善活動と業務改革プロジェクトの違いと、業務改革プロジェクトを成功に導くコンサルティング会社の効果的な活用方法について、ご紹介いたします。
業務改善活動と業務改革プロジェクトの違い
製造業にとって、5SやQCサークルなど、現場レベルの改善活動は、企業の付加価値向上に資する重要な活動です。また、マネジメント層からトップダウンで行われる業務改革プロジェクトなど、期間を定めて経営課題を達成するための活動もしばしば行われます。
こちらでは、業務改善活動と業務改革プロジェクトの違いを解説し、それぞれの活動のポイントをご紹介します。
業務改善活動とは?
業務改善活動とは、既存の業務内容、作業手順を前提に、各業務手順をよりよいものに更新するために行われる活動です。
元々は、自動車などの製造業の現場を中心に広く行われており、少しずつでも改善を繰り返すことでよりよい職場環境を作って、効率的な経営活動を目指します。
日本の高度経済成長を支えた製造業の考え方ですが、今日までに欧米諸国を中心に世界中で取り組まれています。
例を挙げると、5S活動やQCサークルなど、現場の作業者が主体となって定期的に実施される継続的な活動です。
● 業務改善の方法とは
業務改善の方法には、「トップダウン式」と「ボトムアップ式」があります。
トップダウン方式は、経営者や上層部が業務改善活動に積極的に取り組み、打ち出した対策を事業所や部署、部下に落とし込んでいく方法です。
ボトムアップ式は、現場が主体となり、現場から挙げられた対策を経営者や上層部が検討し、有効性と妥当性があると判断した対策方法を実施するという方法です。
トップダウン式もボトムアップ式もメリット・デメリットがある方法です。会社の環境や業務改善の目的に合わせて、適切なものを選んだり、組み合わせたりして業務改善を進めていきましょう。
● 業務改善の進め方
それでは、業務改善はどのような手順で進めていけばよいのでしょうか。一般的には、以下の手順で進めていく企業が多いです。
- 問題の洗い出しと共有
- 現状把握と分析
- 改善計画の策定と実行
- 改善計画の評価
まずは、既存の業務プロセスとそこにある問題点を洗い出していきます。問題が共有されたら、問題ごとに優先順位をつけていきましょう。優先度に応じて解決すべき課題を決め、そのあとは業務改善の目的と目標を明確にしていくことが大切です。
目的・目標が決まったら、それを実現するために必要なタスクを整理します。タスクを設定する際に、タスクの評価方法も決めておきましょう。
改善計画のタスクが策定され、関係者の了承を得たら、実行します。改善計画を実施し、終了したら評価していきましょう。
目標と結果を比較して、実際に改善できたこと・できなかったことを検証します。改善できなかった点は改めて、「問題の洗い出しと共有」へ返送し、最初からやり直ししていきます。
業務改善活動は何よりも継続することが大切です。継続することで、一つ一つの改善は小さなものであっても、積み重ねることで大きな効果へつながります。また、作業者同士の一体感や、帰属意識を高める効果も期待できます。活動の継続性を維持するために、年に数回、活動内容を発表する場を設けるなどの施策が重要です。
業務改革プロジェクトとは?
業務改革プロジェクトとは、経営課題を達成するために、既存の業務や作業を前提とせず、ゼロベースで業務のあり方や流れを根本から見直す活動です。
プロジェクトとして実施され、明確なプロジェクト期間と目標値が設定されます。経営層や工場長がプロジェクトリーダーを務め、トップダウンのアプローチで推進していくことが特徴です。
製造設備やシステムの更新など、大掛かりな投資を伴うことも多くあります。そのため、プロジェクトリーダーは高度な判断能力が必要となり、適切なデータや分析に基づいた情報が必要となります。
● 業務改革プロジェクトが注目される背景とは
近年のビジネス環境の変化は激しく、市場でデジタル・ディスプラクション(デジタル技術を伴う破壊)が発生しています。市場でのリーダーの入れ替わりは当たり前に起きており、日々変化するビジネス環境に耐えられる企業体質が求められているのです。そのためにも、従来の業務プロセスを捨て、新しいプロセスを建築する必要があります。
現代はAIやIoTなど、IT技術の発展が目覚ましく、業務プロセスを効率化するための製品が誕生しています。1990年代と比較すると、日本企業の商習慣にマッチした製品が格段に増えており、今までよりも業務改革に取り組みやすい環境が整えられているといえます。
業務改善活動・業務改革プロジェクトにおけるコンサルタントの役割と活用のポイント
前段のように、業務改善活動と業務改革プロジェクトはそれぞれ目的やアプローチが異なります。そのため、コンサルタントの役割も異なります。
こちらでは、業務改善活動と業務改革プロジェクトそれぞれのコンサルタントの役割を説明します。また、それぞれの活動において、コンサルタントをどのように活用したらよいのかについても併せてお伝えします。
業務改善活動・業務改革プロジェクトのサポートをコンサルタントに依頼する前に、ぜひご確認ください。
業務改善活動・業務改革プロジェクトにおけるコンサルタントの役割
● 業務改善活動におけるコンサルタントの役割
業務改善活動では、活動主体は現場の作業者であることから、コンサルタントは主に指導者・サポーターとして参画します。
作業者が提案した改善案に対して、より実効性を高めるような助言や評価を行います。また、改善のアイディアが不足し始めた時に、新しい視点を与えるなど、改善活動が効果的に継続されることを支援します。
● 業務改革プロジェクトにおけるコンサルタントの役割
業務改革プロジェクトでは、コンサルタントの活動範囲は以下のように広範囲にわたります。
- プロジェクト全体の管理
- 現状業務の整理
- 改善対象業務の定量化
- 各種個別課題の検討
- 改革後業務の効果シミュレーション
- 改善後業務を評価する指標(KPI)の策定、指標モニタリング
- 設備の選定、費用対効果の検証(設備投資をする場合)
規模に応じて複数のコンサルタントやコンサルティング会社が連携し、プロジェクトにあたることもあります。
コンサルタントを効果的に活用するためのポイント
適切にコンサルタントを活用することは、業務改善活動や業務改革プロジェクトそれぞれにおいて、成果を最大限に引き出すための効果的施策です。
● 業務改善におけるコンサルタントの活用
現場主体で改善活動は継続しているものの、以下のような場合は、外部コンサルタントの活用が必要な状態です。
- 改善テーマの枯渇
- 改善は継続しているが、成果が乏しい
- 活動がマンネリ化している
- 活動の方向性が正しいか不安
現場の作業者にとって、現場は日頃から慣れ親しんだ場所です。
そのため、どうしても現状を前提とした視点になりがちで、改善点の着想が不足しやすい状況にあります。
また、改善テーマも定型化し、マンネリが生まれやすい傾向があります。
コンサルタントは、製造現場を見てきた経験や、改善活動を進めるための豊富な思考方法を持っています。
コンサルタントの知識と経験は、従来の改善活動に新しい視点や着想を与えるきっかけとなるでしょう。
また、体系的な改善活動の知見から、今の現場のどこに新しい改善テーマが隠されているか、何が不足しているかなど、成果につながるアドバイスが可能です。
● 業務改革におけるコンサルタントの活用
かつての製造業は、工場ごとに改善活動や能率を検討するための専門部署を設置している会社が多くありました。しかし、現代は大企業を含めて、改善の専門部署を維持できる余力のある企業はほとんどありません。そのため、業務改革プロジェクトにおいて、外部のコンサルタントを活用することは必須です。
業務改革においては、プロジェクトリーダーのもと、案件規模に応じたコンサルタントを配置します。
コンサルタントが主体となり、現状業務分析、課題の発掘や改善策の検討など、主に分析・検討業務を行います。社内のプロジェクトメンバーは、コンサルタントに業務の説明や改善案の妥当性についての検証など、主に業務知識の面を担当します。
また、コンサルタントの要請のもと、現場とのヒアリング調整や現場視察の段取り、各種データの手配など、調整事項も担います。
プロジェクトリーダーは、全体の方針策定や分析結果に対する最終的な判断を行います。
製造業の業務改革を成功に導くために経験豊富なコンサルサービスの活用を!
業務改革プロジェクトを成功に導くためには、プロジェクトリーダーのリーダーシップと、それを支える客観的なデータや分析が必要です。
また、指導者・サポーターとして、コンサルタントの存在も欠かせません。
業務改革プロジェクトにおけるコンサルタントの役割は、プロジェクト全体の管理、現状業務の整理、改善対象業務の定量化、改革後業務の効果シミュレーションなど広範囲にわたります。
業務改革プロジェクトを進めるためコンサルタントを探す際には、コンサルタントが提供するサービスや得意としていること、実績などをしっかりと確認し、信頼できるコンサルティング会社を見つけましょう。
製造業のお客様に対して数多くの業務改革プロジェクトを承ってきたあおい技研は、業務改革プロジェクトを成功させるためのノウハウを保有しています。
業務改革プロジェクトにコンサルタントの活用をご検討中でしたら、あおい技研のサービスをご利用ください。
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